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英国のTPP加盟合意 初の参加国拡大、7月署名目指す

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環太平洋経済連携協定(TPP)の参加11カ国は31日、英国の加盟を認めると発表した。同日午前に閣僚級が出席する会合をオンライン形式で開き、交渉の「実質的な妥結を歓迎した」と明記した閣僚声明をまとめた。発足11カ国以外で初の新規参加国となる。7月に開く予定の閣僚級の会合で協定への署名を目指す。

声明は「自由貿易、開かれた競争的市場、ルールに基づく貿易システムおよび経済統合をさらに促進していく」と記した。

英国は2021年2月に加盟を正式に申請し、同年6月に交渉審査入りが決まった。日本は英国の審査を手掛ける作業部会の議長国を約2年にわたって務めた。

後藤茂之経済財政・再生相は会合後、記者団に「交渉としては基本的に妥結した。終了していると考えていい」と話した。今後については「具体的な法的文書の作成などについて技術的にしっかり詰めていく」と語った。

英国が加わることで、アジアや米州が中心だった枠組みが欧州にも広がる。国内総生産(GDP)の合計額は11.7兆ドル(約1550兆円)から14.8兆ドルに増え、世界全体のGDPに占める割合は12%から15%に高まる。貿易総額は6.6兆ドルから7.8兆ドルに拡大する。貿易や投資、サービスなどで高い水準のルールを特徴とする自由貿易圏の拡大に弾みがつく。

スナク英首相は31日、加盟承認を受けた声明で「この合意は欧州連合(EU)離脱で得た自由による真の経済的利益だ」とアピールした。EU加盟時代は英国だけで独自の通商協定を結ぶことができなかった。英国はTPP加盟を通じて今後のアジアの成長力を取り込みたい考えだ。国際的な影響力を高めるためにも重要だとみている。

英国が加盟すれば、現在加盟を求めている国・地域への対応が焦点となる。現時点で中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイの5カ国・地域が要望している。中国は台湾が自国の一部だという「一つの中国」原則を主張して台湾の加盟申請に反発しており、中台をどう扱うかが最大の課題になる。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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