事業用太陽光、屋根置き促進へ 住民説明など認定条件に - 日本経済新聞
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事業用太陽光、屋根置き促進へ 住民説明など認定条件に

経済産業省は31日、再生可能エネルギーの普及を後押しする固定価格買い取り制度(FIT)に2024年度から新しい区分を設けると明らかにした。企業が工場や倉庫の屋根に置いた太陽光発電パネルでつくる電気を1キロワット時あたり12円で買い取る。足元の電気代が高騰する中、平地より2〜3割ほど高くして企業の導入意欲を高める。

調達価格等算定委員会が24年度の買い取り価格をまとめた。FITは企業や家庭が発電した再生エネの電気を電力会社が10〜20年間、固定価格で買い取る仕組み。東日本大震災後の12年度に導入した。家庭や企業が電気代に上乗せして支払う賦課金が原資になっている。

12円で買い取る屋根置きは出力10キロワット以上の事業用太陽光が対象となる。平地などに置く場合は10キロワット以上50キロワット未満で10円、50キロワット以上250キロワット未満で9.2円に設定する。屋根置きについては23年10月以降の認可分にも遡及して適用する。24年度から適用すると企業が投資を先送りする可能性があるためだ。

経産省は30年度の温暖化ガス排出削減目標の達成に向けて、屋根が広い物流倉庫などに導入余地があるとみる。足場設置や耐震補強などの建設コストがかさむため価格差をつける。

買い取り価格の引き上げは賦課金の上昇圧力になるが、全体で見ればわずかで、経産省は「国民負担に直結するような上昇は見込まれない」と説明する。再生エネの導入量が増えれば、化石燃料の輸入は減る。資源価格が高止まりする場合、電気代全体では消費者の負担を軽減する効果がでる可能性もある。

ロシアによるウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰で足元の電気代は高い。電力を多く消費する企業が太陽光を導入すれば自家消費できる利点がある。固定価格で売電できるため設置にも踏み切りやすい。

国内で太陽光パネルを設置できる適地は減っている。山間部に設置するケースが増えたことで景観や防災を巡る住民トラブルも少なくない。

経産省は事業者に対して、森林法や盛土規制法などの関係法令に基づく許認可を取得することをFITの申請要件にする方針だ。省令改正で対応する。法令違反した事業者に対しFIT交付金を早期に停止できるよう再エネ特措法の改正案を通常国会に提出する。

地域住民の理解を得るため、住民説明会などで事業内容を事前に通知することをFIT認定の条件にする。30年代半ば以降に大量廃棄が見込まれる使用済みパネルの処分やリサイクルを巡り、パネルに含まれる物質の表示をFIT認定の義務とするよう省令改正する。

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