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オンライン初診、秋にも対象症状を線引き 厚労省

厚労省はオンライン診療の恒久化に向けた制度の大枠を示した

厚生労働省は30日、初診からのオンライン診療の恒久化に向けた制度の大枠をまとめた。初診から認めるのは原則かかりつけ医とするが、それ以外の医師も事前に健康診断情報を得るなどの条件付きで認める。秋までに詳細を詰める方針で、具体的にどういう場合に認めるかなどの議論次第で、患者が使いやすいかや、病院側が積極的に取り組めるかが左右される。

同日開催した有識者による検討会で大枠を示した。政府が6月18日に閣議決定した規制改革実施計画に「2022年度からの初診恒久化」を盛り込んだことを踏まえた。

30日の検討会には100以上の学会が加盟する日本医学会連合が、オンライン初診に適さない症状などをまとめた提言を出した。「問診と画面越しの動画のみで診断を確定することのできる疾患はほとんどない」としたうえで、対応が難しい場合には対面診療に切り替える必要性に言及した。

具体的には風邪症状があって①コロナ感染者と接触がある場合②感染地域に渡航した場合③高齢者や慢性疾患など重症化のリスクがある場合――などはオンライン初診に適さないという。

ほかにも、急な息苦しさや呼吸困難、強い腹痛や吐き気などの症状は対面を推奨。同連合はオンラインでは軽い発熱や風邪症状での利用を想定する。緊急性のある症状の場合は対面の診療が必要だが、不適当な範囲を過度に広げれば患者が使いにくくなる恐れもある。

国内でのオンライン初診は20年4月、新型コロナを受けた特例措置として時限的に解禁された。ただ、電話も含めた遠隔診療に対応する医療機関は全体の15%程度で横ばいが続く。初診から対応するのは6%程度にとどまる。

海外ではコロナ下で普及しつつあり、対照的だ。東大の南学正臣教授は30日の検討会で「米国はコロナを受けて規制改革を実施し、90%の医師が遠隔医療に携わっている」と言及した。

日本が出遅れる要因として、対面診療と比較した場合の報酬面の低さを指摘する声が根強い。オンライン診療の推進を求めるIT(情報技術)企業らで構成する日本医療ベンチャー協会によれば、国内ではコロナによる特例措置を適用しても、オンライン診療の報酬は対面診療の5~7割程度にとどまるという。

慶大の木下翔太郎助教らが世界の17カ国の精神科のオンライン診療の報酬を調べたところ、コロナ流行前の19年12月時点で、英国や米国(ニューヨーク州)など12カ国でオンライン診療の報酬が対面と同等以上だった。コロナを受けてオンライン診療を推進し、デンマークやドイツなど3カ国で20年5月時点には対面と同等以上に高まった。

オンライン診療には医療機関側にシステム導入の費用負担のほか、対面とは別に時間を確保するなどの手間がかかる。政府は恒久化の方針を決めたものの、報酬面の議論は進んでいない。木下氏は「報酬面がどうなるのか見えなければ、医療機関側も体制整備に踏み切れない。対面に近づけなければ普及は難しい」と指摘する。

オンライン診療の解禁議論の中では、安全性などの観点から日本医師会が慎重な立場を示してきた。「原則」ではないとはいえ、かかりつけ医以外のオンライン診療も認めることになっただけに、詳細な制度設計や、診療報酬のあり方を決めていく中で普及を促す内容にしていく必要がある。

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