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「新卒一括」見直しへ半歩 政府、専門人材の採用柔軟に

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政府は30日、大学生の就職活動を巡り一律で定めてきた日程の見直しを始めると発表した。2026年春に入社予定のいまの大学1年生と大学院に進む学部3年生から対象になる。専門性の高い人材を企業が柔軟に採用できるよう検討する。時代遅れとなった新卒一括採用を改める動きだが改革は途上にある。

関係省庁や経済界による連絡会議で見直しの方向性を示した。現行の就活のルールは企業側の説明会を大学3年の3月、面接など採用選考を大学4年の6月に解禁するよう求める。企業は10月以降に内定を出す。

26年春入社の学生からはこうした日程の前倒しなど弾力的な運用をめざす。経済界や大学と23年中に内容を詰める。25年春入社の大学2年生は現行ルールを維持する。

対象になる専門性の高い人材は人工知能(AI)やデータ分析などに習熟した学生を想定する。IT(情報技術)など成長分野で中核となる人材を確保できるかが企業の競争力を左右する時代になった。

ルールが緩和されれば採用戦略上の選択肢も増える。学生にとっては企業の採用活動に参加する機会が増え、将来のキャリアを描きやすくなる。

外資系企業などはすでに通年で優秀な人材の確保に動く。いまのルールには「採用の早期化が進む実態を反映していない」と形骸化を指摘する声が出ていた。

実際には大企業を中心に人材の囲い込みに拍車がかかっている。

内閣府の21年度調査によると、学生が採用目的の説明会に参加した時期は「解禁前の2月時点」が6割超に及んだ。内々定を得た時期も「面接解禁前の4月」が半数を超えた。

政府は今年6月にインターンシップ(就業体験)に参加した学生の評価を企業が採用選考時にも使えるようルールをかえた。潜在力を確かめ、より専門性の高い学生を確保する狙いからだ。

インターンに関しても実質的な採用活動と位置づける企業は少なくない。現状への後追い対応という面は否めない。

新卒者をまとめて採用し、幅広い業務をこなせるように育てる日本型の雇用システムが時代にあわなくなってきた。職務の内容を明示し人材を配置するジョブ型雇用を導入する企業も増えた。採用を含めた人事制度の変革を迫られている。

経団連は多様な人材の獲得に向け通年採用の拡大を見据える。経験者(既卒者)の通年採用を導入する会員企業は9割超に上り、新卒は3割程度にとどまる。

経団連幹部は「新卒でも通年採用を活用することこそが若者に広く門戸を開く有益な方法だ」と強調する。雇用の流動性を高めそのうえで成長分野に人材が移動しやすくするには採用手法の多様化が不可欠とみる。

就活ルールの大幅な修正には学生の不安が高まる可能性がある。内閣府調査では「ルールは必要だ」とする学生は68%を占めた。日程が決まっているほうが「予定を立てやすい」といった意見が根強い。

学習院大学の淡野健キャリアセンター担当次長は「ルールを設ける以上は企業に順守を徹底させ、学生の学業や課外活動に影響が出ないようにすべきだ」と話した。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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