旧統一教会問題、電話相談2251件 金銭トラブルが7割

政府は30日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の関係省庁連絡会議を開いた。5日に開設した合同電話窓口への相談は28日までで2251件にのぼった。22日時点の被害相談は7割が金銭トラブルだった。支出の4分の1が5年以内と最近でも被害相談につながる案件が起きていた実態が明らかになった。
連絡会議は5日、旧統一教会問題に関する相談を一括で受け付ける専用のフリーダイヤルを設けていた。30日までを期限とし、法務・厚生労働省などの担当者が幅広い相談に回答できる体制を整えた。件数の多さを考慮し、相談期間は当面延長する。

22日までに集まった1952件について分析資料を公表した。旧統一教会に絡む被害の相談は1317件で「金銭トラブル」が919件と全体の7割を占めた。「親族間の問題」(170件)、「心の悩み」(101件)が続いた。
金銭トラブルの相談のうち58%が物品購入で、46%が献金に関する内容だった。相談の主体は親族が48%、元信者が24%、信者が7%となった。
金銭の支出時期は「1年以内」との回答が18%を占めた。2~5年の7%とあわせ5年以内の金銭の支出が25%に達した。もっとも多かったのは20年以上の37%だった。不明との回答も14%含まれた。

「祝福結婚や先祖解怨といった名目で10年にわたり10万程度~数百万円の献金を多数繰り返したが取り戻せるか」との相談があった。「信者である家族がこれまで1億円を超えて献金したため自己破産した。借り入れしており返金を求めたい」との訴えもあった。
窓口にはピーク時で1日200件近くの問い合わせが寄せられた。足元でも1日100件近くで推移している。
関係省庁会議とは別に消費者庁は30日、全国各地の消費生活センターなどに寄せられた旧統一教会関連の相談件数が2012年度から今年9月までに計1165件あったと明らかにした。21年度は27件、22年度は9月28日までで285件で急増した。
連絡会議は救済策を示す文書も作成した。相談内容を類型化し、現行制度による対処法を「Q&A」として公表した。金銭トラブルで返金を要求する方法や法的根拠を示した。
救済が困難だとされてきた高額な寄付についての見解を用意した。消費者契約法は不安をあおり高額なつぼや美術品を買わせることを「霊感商法」と規定する。契約締結から最長5年の間で取り消せる措置を盛り込む。
宗教団体への高額な寄付に関しても救済可能な「契約」とみなすのは難しいとの見方が弁護士らにあった。連絡会議は寄付を「贈与等の契約」と位置づけられる可能性があると提示した。消費者契約法に基づいて契約を取り消しうると解釈した。
親による信仰の強要や虐待やいじめ、生活困窮に対応する窓口や機関も紹介した。
岸田文雄首相は10月3日の所信表明演説で、被害者救済に向けて法令の見直しに言及する方針だ。