コメ現物市場、23年秋開始へ農相「需要動向反映に期待」

野村哲郎農相は29日の閣議後の記者会見で、2023年秋からの取引開始を目指すコメの現物市場について「需要動向を反映した価格指標が示される市場ができることを期待する」と語った。現状コメの流通は相対取引が主流で、価格形成の透明性に欠けるとの指摘がある。市場取引を通じて需給を踏まえた価格を目指す。
野村氏は来秋からの本格稼働に向け、来年1月に米の生産や消費に関する情報共有の場を立ち上げると明らかにした。農林水産省や生産者、JAグループ、卸売業者などの参加を想定する。加えて来年3月には運営主体となる意向を示している公益財団法人の流通経済研究所(東京・千代田)が運営方法を開示する。
野村氏は消費者への影響を問われ「売る側と買う側の両者が入っているなかで検討されるので透明性・公平性があり、消費者にとって納得のいく価格に設定されるのではないか」と期待を語った。
コメ取引をめぐっては堂島取引所(大阪市)が2011年から先物の試験上場をしていたが農水省が本上場を認可しなかった。その後、農水省が現物市場の創設に向け検討を本格化させてきた。コメの需給動向を示す価格指標の形成をめざす。