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児童手当、所得制限を撤廃 少子化対策たたき台公表

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政府は31日、今後の少子化対策の「たたき台」を公表した。児童手当は所得によらず受け取れるようにする。保育所は就労状況を問わず使える制度をつくる。一定の条件で育児休業中の手取りを実質100%保障する仕組みも整える。出生数の減少が加速すれば経済や社会保障の底が抜けかねない。財源を確保し、対策を速やかに実行に移す必要がある。

たたき台は「これからの6〜7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と強調した。2024年度からの3年間で集中的に対策に取り組む。①経済的支援の強化②保育サービスの拡充③働き方改革の推進――を3本柱とする。

経済支援では、中学生以下の子ども1人あたり原則1万〜1万5千円の児童手当で所得制限をなくす。現在は夫婦と子ども2人の場合、世帯主の年収が960万円以上なら5千円に減額し、1200万円を超えたら対象から外す。こうした措置をやめ、一律で受け取れるようにする。子供が多い世帯への増額、高校生までの支給延長も盛り込んだ。

出産費用は保険適用を検討する。授業料後払い制度の創設や給付型奨学金の対象拡大、子育て世帯の住宅取得支援も掲げた。

保育サービスの拡充では、保育所を利用するための就労要件も緩める。専業主婦や短時間労働者の世帯も時間単位で使える「こども誰でも通園制度(仮称)」をつくる。

保育士の配置基準も75年ぶりの見直しを掲げ、4〜5歳児30人ごとに1人としているのを手厚く25人ごとに改める。1歳児も6人ごとに1人から5人ごとにする。まず、対応する施設を財政支援する。

働き方改革では、21年度で14%にとどまる男性の育休取得率を引き上げる。25年に30%としていた目標は50%とする。30年は85%に高める。夫婦ともに育休を取った場合、手取りを約1カ月分までは実質的に100%保障する。

手薄だった自営業者やフリーランスの安全網は強化を探る。産休前後の4カ月間だった国民年金の保険料免除措置を育児期間中も受けられる制度を創設する。自営業者らを育休給付の対象とする当初案はやめ、保険料の免除措置で代替する。

一連の対策の財源は岸田文雄首相をトップとして4月に新設する関係閣僚会議で議論する。6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で子ども予算の倍増に向けた大枠を示す方針だ。

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▼児童手当 子育て世代の費用負担軽減のため、中学生以下の子どもを育てる保護者に現金給付する制度。0~2歳には月額1万5000円、3歳から中学生には1万円を支給する。3歳から小学生の第3子以降は1万5000円に増額する。世帯主の年収が960万円以上の世帯は「特例給付」として1人あたり一律5000円に減る。2022年10月からは世帯主の年収が1200万円以上の場合などは特例給付も廃止となり手当がなくなった。
<2022年12月7日掲載>

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