物価高対応「機動的に」 首相、4月末までに緊急対策
(更新)

岸田文雄首相は29日、物価高への緊急対策を4月末までに策定するよう関係閣僚へ指示した。ロシアのウクライナ侵攻に伴い原油や食料などの物価は上昇している。「国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応する」と強調した。
「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」として①原油高②食料・資源高③中小企業支援④困窮者支援――を4本柱とする。
財源には新型コロナウイルス対策の5兆円を含む総額5兆5000億円の予備費を充てる。対応を急ぐ必要があるとして2022年度補正予算案を編成せずに予備費で対処する。
原油高対策を巡り、石油元売りなどに補助金を支給する「激変緩和措置」は4月末まで延長する。ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除や代替策といった案は政府・与党などで引き続き協議していく。
一連の施策には対症療法的なばらまきだとの批判はある。価格が高騰しやすい資源の備蓄体制の拡充といった根本的な施策に財源を振り分ける必要性を指摘する声も出ている。
具体策は首相がトップの関係閣僚会議で山際大志郎経済財政・再生相を中心に詰める。
中小や下請け企業の経営に配慮し物価高を価格転嫁するよう促す。実質賃金が下がっている現状を踏まえ、賃上げの重要性も訴える。小麦や水産物といった食料や資源の価格上昇は調達先をできるだけ多様にして回避を狙う。生活困窮者への具体的な支援策は政府・与党で話し合っていく。