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25年度財政収支なお赤字 甘い政府試算、健全化見通せず

政府は29日、経済財政諮問会議で新たな中長期の財政試算を示した。高成長の想定でも国と地方の基礎的財政収支の黒字化は2026年度で、目標の25年度になお0.5兆円の赤字が残る。成長率などの前提は甘く、防衛費などの歳出増要因も織り込んでおらず、健全化の道筋は見えない。成長力が高まらないまま財政の悪化が続く懸念がある。

基礎的財政収支は政策経費を借金に頼らずどの程度まかなえるかを示す指標だ。赤字が続けば国や地方の債務が膨らむ。

政府は25年度の黒字化を目標としている。国内総生産(GDP)が名目3%、実質2%程度のペースで伸び続ける楽観的な「成長実現ケース」では、25年度の赤字額は前回1月の試算より1.2兆円減り、0.5兆円となる。

ウクライナ危機などによる世界経済の減速で、実質成長率見通しを22年度は1.2ポイント引き下げて2.0%、23年度は1.0ポイント下げて1.1%とした。その影響は、企業業績の回復による足元の税収増で吸収できるとみている。内閣府は社会保障費抑制など歳出改革を続ければ、25年度の黒字化は達成可能とも説明した。

実際は歳出圧力が高まる。自民党が防衛費の増額を求め、岸田文雄首相も検討する考えを示している。グリーン投資で今後10年に20兆円規模の支出も掲げる。

6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は25年度の黒字化目標を明記しなかった。秋以降、物価高対策などで大型の補正予算を組む可能性もある。

そもそも政府の試算は前提が甘い。たとえば企業の技術革新などを反映する「全要素生産性」がバブル期並みのペースで上昇する想定だ。3%の名目成長率も00年度以降では15年度(3.3%)しか実現しておらず、現実離れしている。

より現実に近い「ベースラインケース」は24年度以降の成長率を名目0.5~1.5%、実質0.4~1.4%と想定する。25年度の赤字は6.2兆円に及ぶ。中期的にも赤字幅が膨らみ、黒字化が見通せない。

今回、さらに慎重な「潜在成長率低下ケース」の試算も初めて示した。全要素生産性の上昇率がベースラインケースに比べて0.5ポイント低く推移する前提を置く。この場合、GDP比で赤字額は増え続け、国・地方の債務残高も30年代にかけて膨らみ続ける。

今後、物価高も企業や家計の重荷になる可能性がある。財政支出も成長力を底上げする賢い使い道を探らなければ、経済が停滞したまま将来世代の負担ばかりが増す流れが定着しかねない。

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