経済安保法、「重要物資」指定で要件 政府が指針決定
政府は30日の閣議で、5月に成立した経済安全保障推進法に基づき進める政策の指針を閣議決定した。供給が止まると国民の生活に影響が大きい「特定重要物資」に指定する際の要件などを定めた。特定の国など外部に依存する物資について供給体制の維持を狙う。
特定重要物資は年内に政令で指定する。供給を担う企業を財政支援する。半導体や医薬品、レアアース(希土類)などを想定する。
要件は①国民の生存に必要不可欠②外部に過度に依存する③供給が途絶する可能性がある④安定供給の確保の取り組みが特に必要――の4つとした。要件にそって供給網(サプライチェーン)が寸断されると安全保障上の影響がある物資を絞り込む。
政府が開発を支援する「特定重要技術」に関する指針も決めた。特定重要技術の候補としてバイオ技術やロボット工学、人工知能(AI)、量子情報科学などの分野を示した。
年内に各分野の研究者を募集する。関係府省や研究者などでつくる協議会を立ち上げて官民一体で技術開発を進める。
経済安保の政策全体に関わる基本方針もまとめた。「自由で開かれた経済を原則とし、民間活力による経済発展を引き続き指向する」と明記した。
その上で「市場や競争に過度に委ねず、政府が支援と規制の両面で一層の関与をすることが必要」と強調した。規制は「合理的に必要と認められる限度で行う」と記した。