有効求人1.10倍、20年度46年ぶり下げ幅 失業率2.9%

厚生労働省が30日発表した2020年度平均の有効求人倍率は1.10倍となり、前年度を0.45ポイント下回った。下げ幅は石油危機の影響があり、0.76ポイント下がった1974年度以来46年ぶりの大きさで、比較可能な63年度以降では2番目になる。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、非正規の就業者数が減った。

総務省が同日発表した2020年度平均の完全失業率は2.9%と、前年度を0.6ポイント上回った。悪化するのはリーマン・ショックの影響があった09年度以来11年ぶりとなる。上昇幅は09年度の1.1ポイントよりは抑えられた。雇用調整助成金の特例措置や休業支援金といった政策の効果があったとみられる。
20年度の完全失業者数は198万人で36万人増えた。増加幅は09年度(68万人)以来の水準となる。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業などから何件の求人があるかを示す。20年度は企業からの有効求人が前年度に比べて22.3%減り、働く意欲のある有効求職者が9.8%増えた。
総務省調査によると、20年度平均の就業者数は6664万人で、9年ぶりに減少した。非正規の就業者数は2066万人と97万人減った。過去に遡れる14年度以降では減少は初めてだ。
特に女性の非正規職員・従業員が1407万人と65万人少なくなった。コロナの影響を受けやすいのは飲食や宿泊業といった対面サービスが伴う業種で、女性の非正規労働者が多い職場のためだ。宿泊・飲食サービスの就業者は381万人と37万人減った。
一方で女性の正社員は1208万人と36万人増えた。人手不足の産業で女性の正社員を採用する動きは出ている。
21年3月単月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍と前月を0.01ポイント上回った。上昇するのは2カ月ぶり。都道府県別では最高が福井県の1.70倍、最低が沖縄県の0.76倍だった。東京都は0.88倍で9カ月連続で1倍を割り込んだ。
21年3月の完全失業率(同)は2.6%と前月から0.3ポイントの低下だった。就業者数は6649万人と前年同月より51万人少なく、12カ月連続の減少となった。完全失業者は188万人と前年同月より12万人多く、14カ月連続の増加だった。「勤め先や事業の都合による離職」は10万人増えた。
失業には至っていないものの仕事を休んでいる休業者数は20年度平均で261万人と前年度に比べて80万人増加した。確認できる1968年度以降では最大となった。
最初の緊急事態宣言が発令された20年4月に過去最大の597万人に達した。その後は減少し、感染拡大の第3波の11月から再び増加した。足元の21年3月は220万人となっている。
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