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霞が関に勤務間インターバル 人事院、長時間労働是正へ

研究会が初会合、官僚機構の劣化に危機感

人事院は31日、国家公務員の働き方改革に関する研究会の初会合を開いた。終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入などを検討する。長時間労働が常態となっている状況が続けば優秀な人材を確保しにくくなり、国の統治を支える官僚機構は劣化しかねないとの危機感が背景にある。

研究会は2023年夏までに勤務時間制度の改善策を盛り込んだ報告書をまとめる。人事院による政府への勧告にも反映をめざす。

国家公務員の働くルールを定める人事院規則にインターバル制度を義務付ける記載はない。

厚生労働省によると、欧州連合(EU)は1990年代から加盟国の官民に同制度を義務づけた。一部職種を除き24時間ごとに最低でも連続11時間の休息をとらなければならない。ギリシャやスペインはEUの規定を上回る12時間を求める。

一方で日本の中央省庁では深夜まで働きながら翌朝早くから出勤することが日常的だ。内閣人事局は20年12月、正規の勤務時間外の「在庁時間」を公表した。20年10~11月に20代総合職の3割が過労死ラインの目安とされる月80時間超だった。

長時間労働の一因は国会との関係にある。官僚は国会開会中に早朝から閣僚に答弁について説明することが多い。

閣僚の国会答弁は政府の方針と位置づけられる。誤りのない答弁を用意するには質問する国会議員からあらかじめ内容を聞き取る「質問取り」という作業も欠かせない。議員からの質問通告が国会審議の前日夜にもつれると深夜までの勤務を強いられる。

国内では民間の一部で取り組みが先んじる。19年4月施行の働き方改革関連法でインターバル制度の導入を企業の努力義務とした。取り入れた中小企業には補助金を支給する。厚労省の調査で21年までに採用した企業は全体の4.6%だった。

政府は21年7月の閣議で「過労死等防止対策大綱」の変更を決め、導入企業の割合を25年までに15%以上に増やす目標を掲げた。民間に求めておきながら足元の霞が関でないがしろにしているのが実態といえる。

人事院の研究会では日々の始業や終業時間を柔軟に設定する「フレックスタイム制」の拡充も議題にする。毎日必ず就業する「コアタイム」と日によっていつ勤務してもよい「フレキシブルタイム」を設けるのが一般的だ。

人事院規則は午前9時から午後4時のコアタイムに休憩1時間を除き計5時間勤務すると規定する。始業は最も遅くて午前10時にしなければならない。研究会はコアタイムの設定を改め、始業を遅くしたり終業を早くしたりできるようにするといった是正策を練る。

テレワークの普及策も取り上げる。現行制度では職員本人が自由にテレワークをできるわけでなく上司などから職務命令を受ける必要がある。これを本人の希望で自由にできるような制度にするよう検討する。

質問取りもテレワークを阻む要因となっている。オンラインで対応できるのに対面を望む議員はなお多い。ワーク・ライフバランス社が20年6~7月に国家公務員およそ380人を対象にした調査によると、議員からの聞き取りが対面だった割合は8割にのぼった。

人事院がこうした対策の検討に乗り出すのは国家公務員の志望者の減少傾向に歯止めがかからないためだ。21年度の総合職試験の申込者数は20年度と比べ14.5%減り、12年度以降で最大の減少幅だった。

若手の離職を防ぐ狙いもある。内閣人事局の調査で自己都合を理由とした20代の国家公務員総合職の退職者数は19年度に87人で、6年前から4倍増えた。

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