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クラウドサービス、顧客の「囲い込み」をけん制 公取委

(更新)

公正取引委員会は28日、企業向けクラウドサービスを運営するIT(情報技術)大手に対し、顧客の囲い込みを避けるよう求める報告書をまとめた。顧客が自社サービスから他社に移る際に、高額なデータ転送料を設定するなどの行為は独占禁止法上の問題があると指摘した。米IT大手3社による寡占が強まっており、競争確保の観点から監視を強める。

クラウドは利用者がインターネットを介してデータ管理などのサービスを受ける。自社で大きなコンピューターを持つよりも柔軟にシステムを構築することができ、急速に拡大している。

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、米マイクロソフト、米グーグルが3強で、公取委によると3社の日本でのシェアは2011年度には5~10%だったが、20年度は60~70%に達している。

公取委は国内外のクラウド事業者25社やサービスを利用する18社などに聞き取りをした。アンケート調査では約1600社から回答を得た。支配的な地位にあるクラウド事業者が、サービス切り替えを阻むような料金設定や契約をしていないかを重点的に調べた。

アンケート調査では1割超の回答者が「解約するときなどにデータの取り出し料がかかる」と答えた。これに対し公取委は、データ転送料は可能な限り引き下げることが競争政策上、望ましいとの考えを示した。

クラウドは利用量が増えると別のサービスへの移転が難しくなり、事業者からの一方的な値上げ要請に応じざるを得ないとの声もあった。公取委は支配的な立場のクラウド事業者が、サービスの値上げなど取引条件を一方的に変えて利用者に不利益を与えるのは、独禁法上問題があるとも指摘した。

公取委はクラウドを手掛ける事業者に対し、問題となる可能性がある行為は自主的に改善するよう求めた。米大手3社のシェアは今後も高まると分析し、契約前に費用や条件を明示して切り替え時の制約を最小限にするなどの対応を促した。

公取委のデジタル市場企画調査室の寺西直子室長は「クラウドサービス分野の競争状況を引き続き注視し、独禁法上問題となる具体的な案件に接した場合には厳正・的確に対処する」と述べた。

アンケートでは8割の利用者が、仮にいま使っているクラウドの価格が5~10%上昇しても継続して利用すると回答した。切り替えが難しい理由として7割は新サービスでのシステム構築には費用や時間がかかるとしており、クラウドは囲い込みが起きやすい状況にある。

クラウドサービスの囲い込みについては、欧州の主要国も規制強化に乗り出している。欧州連合(EU)はデータ規制の関連法案に、競合サービスへの乗り換えを妨げる行為を禁じることを盛り込んだ。

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