予備費1.5兆円の支出決定 政府、物価高対策の原資に

政府は28日、2022年度予算に積んだ新型コロナウイルス対応などの予備費から1兆5110億円を支出すると閣議決定した。26日に決めた物価高の緊急対策の原資とする。ガソリンや灯油などの価格急騰を抑える補助金の延長・拡充や、低所得の子育て世帯を対象とする子ども1人5万円の給付金などに充てる。
ガソリン補助金の5月分予算として2774億円、5万円給付に2043億円を支出する。ほかに国が地方に配る「地方創生臨時交付金」に8000億円、原油高の影響を受ける中小企業を支援する補助金に1000億円を充てた。
政府は22年度予算に災害などに備える一般予備費を5000億円、コロナ対応予備費を5兆円計上した。ガソリン補助金など約4000億円は一般予備費から出し、残り約1.1兆円はコロナ予備費から拠出する。
予備費は国会の議決を経ずに使い道を決められるため、監視の目が届きにくいとの批判がある。鈴木俊一財務相は28日の閣議後の記者会見で「緊急かつ機動的に対応するため、まず迅速な対応を優先した」と説明した。予備費の使途に関して「国会の場などで丁寧に説明していくことが大切だ」と語った。
政府は今回取り崩した約1.5兆円を今後編成する補正予算案で埋め戻し、計5.5兆円の予備費を維持する方針だ。ガソリン補助金の6~9月分の経費も補正予算案に盛り込む。コロナ予備費は物価高対策にも使えるよう名称を変更する。