1月の鉱工業生産4.6%低下 3カ月ぶりマイナス

経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は91.4となり、前月から4.6%下がった。低下は3カ月ぶり。中国・上海市がロックダウン(都市封鎖)されていた22年5月(88.0)以来の低水準となった。半導体不足で自動車工業が落ち込み、半導体産業の設備投資の先送りで生産用機械工業も振るわなかった。
新型コロナウイルス流行前の19年平均(101.1)を下回る水準となった。生産の基調判断は「弱含み」を維持した。
生産は全15業種のうち、12業種で低下した。普通乗用車や駆動伝導部品といった自動車工業は前月比で10.1%のマイナスだった。半導体不足を受け、米国や中国向けの輸出が減少した。大雪の影響で工場生産も滞っていた。
半導体製造装置などの生産用機械工業は13.5%のマイナスだった。国内外で設備投資を延期する動きがあったという。スマートフォンの需要低迷を背景に、メモリ半導体といった電子部品・デバイス工業も4.2%のマイナスとなった。
残る3業種は上昇した。汎用・業務用機械工業はコンベヤーで国内大型案件が成立し、5.1%のプラスだった。無機・有機化学工業・医薬品を除いた化学工業は3.9%上昇した。新製品発売を受け、頭髪用化粧品などが伸びた。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は2月に前月比8.0%の上昇を見込む。企業の予測は上振れしやすく、例年の傾向をふまえた経産省の補正値は1.3%のプラスとした。部材供給不足の緩和で、生産用機械工業や輸送機械工業が伸びるとみる。3月の予測指数は0.7%上昇となっている。
経産省の担当者は今後の見通しについて「コロナ感染の拡大状況や物価上昇の影響に加え、企業が先送りした投資計画が2~3月に実施されるか注目する必要がある」と話した。
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