従業員への勤務地明示義務を了承 厚労省審議会

厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会は27日、企業に対して従業員に将来の勤務地や仕事の内容を明示することを義務づける制度見直し案を了承した。従業員は転勤の可能性がある場所などを把握できる。育児や介護などライフステージに合わせた働き方を求める人が増えていることに対応する。
2023年に労働基準法(労基法)の省令を改正する。現在は労働条件通知書に契約締結直後の就業場所だけを書けばよいが、「東京都の本社、大阪市・名古屋市の支社、福岡市の支店」など将来にわたって勤務する可能性がある場所の明記も求める。
労政審の分科会は有期契約の労働者が5年を超えると無期契約への転換を申し込める「無期転換ルール」の見直しも了承した。無期転換を申し込む権利が発生する期間を含んだ契約更新時に、申し込みができることと無期転換後の労働条件を明示することを企業に義務付ける。
無期転換ルールは現行では企業が従業員側に権利の発生などを伝える義務がなく、転換ルールすら知らないという有期労働者が4割いるとの調査もある。周知を徹底して、希望する働き方を選びやすくする。23年に労基法の省令を改正する。
労働条件の明示については22年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、多様な働き方を推進する一環として「明確化に取り組む」と明記していた。