原発運転延長、規制庁が7月から資源エネルギー庁と面談
環境省には制度案資料を提供

原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁は27日、原子力発電所の運転期間延長に関して、7月から複数回にわたって経済産業省の資源エネルギー庁と職員同士の面談をしていたことを明らかにした。8月には委員会の議論を経ずに規制庁内で検討した新たな制度案の資料を環境省に提供していた。
規制庁は問題となる行為を「安全規制に関する事前調整や協議、すりあわせを委員会の議論を経ずに実施すること」と説明した。そのうえでエネ庁との面談に問題はなかったとの見解を示した。エネ庁が作成していた審議会資料のための事実関係の指摘にとどめ、規制の制度案に関する情報提供はしなかったという。
環境省に提供した資料には事業者の計画を認可する仕組みや最大10年ごとの評価期間など、12月に規制委が取りまとめた制度案の大部分が記されていた。規制庁の担当者は「環境省は本省と外局の関係でやりとりは多いが、検討内容を予測させる部分を外部に出したのは問題だった」と述べた。
山中伸介委員長が規制庁に検討を指示したのは10月5日だった。指示の前に委員会に報告せず検討を始めていたことについて規制庁は「問題ない」と説明した。
規制委は2011年の東京電力福島第1原子力発電所の事故をふまえ、原子力を推進する経産省内にあった規制部門を切り離して設立された。原子力規制への信頼を回復するため、規制当局としての方針を事業者に伝えるのは公開の会合に限り、事前面談の記録も公表して透明性を高めている。
原子力の推進官庁である経産省などとのやりとりは特別な場合を除き、面談録を作成していない。西村康稔経産相は22日の記者会見で「規制庁に対して意見の申し入れなどは一切していない。現時点で経産省内の調査は必要ない」と述べた。