対ロシア追加経済制裁、首相発言の全文
岸田文雄首相は27日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡る追加経済制裁を公表した。首相の発言は以下の通り。
【冒頭】
本日はウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行う予定だったが、先方から現在緊急事態となったため電話を別の日程としたい旨、連絡があった。
緊急事態となったことを踏まえながら改めて日本は主権と領土そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにあることを表明し、またすでに表明した1億㌦規模の借款に加え、困難に直面するウクライナの人々に対する人道支援として1億㌦の緊急人道支援をする。
今回のロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり国際秩序の根幹を揺るがす行為だ。明確な国際法違反であり断じて許すことはできず厳しく非難する。今こそ国際秩序の根幹を守り抜くため結束して毅然と行動しなければならない。日本としてこのことを示すべく断固として行動する。暴挙には高い代償を伴うことを示す。
国際社会はロシアの侵略によりロシアとの関係をこれまで通りにしていくことはもはやできないと考えている。日本は主要7カ国(G7)各国、国際社会とともにロシアにさらに強い制裁措置をとる。その観点から日本はプーチン大統領を含むロシア政府関係者などにも資産凍結などの制裁措置をとることを決定した。
そして今朝、発出された欧米諸国による表明では国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの特定銀行の排除をはじめ、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための措置を講じるとされている。
欧米諸国からこの声明への参加要請があり、日本もこの取り組みに加わる。他のG7諸国からはこれを強く歓迎する意向が示されている。こうした内容については現地、松田邦紀大使を通じてゼレンスキー大統領にお伝えをしていきたいと考えている。
【質疑】
――SWIFTの取り組みの加入について日本が欧米より遅れて声明を出すことになったのはどうしてですか。
「遅れたとは認識していない。今回の事態に日本はこれまでもG7をはじめとする国際社会と連携しながら対応してきており、そうした立場は変わらない」
「そして今回の声明については欧州と米国の間で調整し、大西洋協力の枠組みで発出されたものだ。欧米諸国からこの声明への参加の要請が日本にもあり、日本もこの取り組みに加わっていくことを決定した次第だ。他のG7諸国からこれを強く歓迎する、こうした意向が表明されていると、今申し上げた通りだ」
――暴挙という大変強い言葉を使いました。北方領土4島の共同経済活動などの枠組みはどうなりますか。
「まず北方領土問題については次の世代に先送りせず、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針のもと、これまで粘り強く交渉を進めてきた。しかし今回のロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みとして国際秩序の根幹を揺るがすものであり、G7をはじめとする国際社会と結束して毅然と行動する必要がある」
「北方領土問題に関する日本の立場や、ご高齢になられた元島民の方々の思いに何とか応えたいという私自身の思いはいささかも変わりはないが、今このときのこの状況に鑑みて平和条約交渉などの展望について申し上げられる状況にはないと考えている」
――ウクライナにおける邦人保護や退避の状況について、現時点で判明している範囲で教えてください。
「引き続き現地においてはウクライナ人の家族であるなど、現地にとどまっている邦人の方がおられる。そういった方々の安全を確認して、避難などを支援するため現地においては、松田大使などがキエフにおいて努力を続けているわけだし、政府としてもそれをしっかりと支えている状況にある」
「努力を続けている最中ではあるが、状況は混沌としている。引き続き現地としっかり意思疎通を図りながら、邦人の安全のために努力を続けていきたい。政府としてもチャーター機の準備など現地の努力をしっかり支えるために万全の態勢で臨んでいるところだ」
――SWIFTは欧米から声明に参加要請がありということですが、SWIFTは欧米の判断に対して強く支持するという意味合いですか。日本として主体的にSWIFTについてできることは限られているとも聞いています。
「要するにSWIFTというのは民間団体だから、欧米においては色々調整して声明を表明したということだが、内容については日本政府にも参加の要請があり、その内容についての調整が行われているということだ」
「日本もそういった意思疎通を図りながら参加する、そうした取り組みを支持する、加わっていく。こうしたことを決定した」
――ベラルーシへの制裁で本日決まったことはありますか。
「様々な議論・検討は行っているが、きょう現在、具体的に決定したことはない。引き続き情勢をしっかり把握して、適切に対応していきたいと考えている」
――プーチン大統領など個人への制裁に関して、欧米からはラブロフ外相らの名前もあがっています。具体的にはどの閣僚に制裁しますか。
「プーチン大統領以外のロシア政府関係者に資産凍結の制裁措置をとることを決定した。当然プーチン大統領以外のロシア政府関係者も含まれるということだ」
「具体的にロシア関係者、あるいは関係者、団体を措置の対象にすること。いかなるロシア関係者、団体を措置の対象にするのか、対象をどうすることが適当であるか。こういったことについて早急にいま確認する作業を行っているというのが現状だ。早急に拡充したい」

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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