小麦・大豆など国産拡大、食料安保強化へ 政府大綱決定

政府は27日、食料安全保障の強化などを話し合う「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の会合を首相官邸で開き、小麦や大豆など自給率が低い農産物の国産化を軸とする政策大綱を決定した。ウクライナ危機をきっかけに食品や資材を輸入に頼るリスクが浮き彫りになった。肥料は堆肥など国内資源の活用を促す。
大綱は海外依存度が高い麦や大豆、飼料作物などについて、国際的な調達競争の激化で平時でも思うような条件で調達できない場合があると指摘した。2030年の国内生産面積を小麦は21年比で9%、大豆は16%、飼料作物は32%それぞれ拡大させる目標を盛り込んだ。肥料は30 年までに堆肥や下水汚泥資源の使用量を現状の倍にする。
農政の基本指針となる食料・農業・農村基本法改正案の国会提出は23年中を視野にいれると明記した。農水省が同年6月をめどに方向性をとりまとめる。
食料安保強化に向けた財源については、毎年の予算の編成過程で政府が「責任をもって確保する」との方針を盛り込んだ。岸田文雄首相は会合で「農業構造の転換を力強く進め、国民生活に直結する食料の供給基盤を確かなものとしていく」と語った。