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廃止原発建て替え、経産省が計画案 60年超運転も可能に

経済産業省は28日、今後の原子力政策に関する計画案を審議会に示した。「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設を進めていく」と記し、まずは廃止が決まった原発の建て替えを具体化させていく方針を盛り込んだ。現行法で最長60年と定めた運転期間を延長できるようにすることも明記した。

電力の安定供給と脱炭素を中長期で両立させるための選択肢として、原子力の活用を推進する。東日本大震災以降、新増設や建て替えは想定していないとしてきた原発政策は転換点を迎えている。

総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の原子力小委員会で計画案を提示した。政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で年末までに最終決定する。

「まずは廃止決定した炉の建て替えについて、(使用済み核燃料の処分などの)バックエンド問題の進展も踏まえ具体化を進める」とした。建て替え以外のケースは今後の状況を踏まえて検討する。震災前と比べた原発依存度を低減するというこれまでの方針は変えない。

国内で最後に建設した原発は2009年運転開始の北海道電力泊原発3号機(北海道)だ。建設経験のある技術者の退職が続き、部品などの供給網も弱くなってきている。政府として建て替え推進を打ち出すことで、実際に建設を判断する電力会社の投資決定を後押しする狙いがある。

想定されるのは従来と同様に原子炉を水で冷やす軽水炉と呼ばれる原発だ。三菱重工業は9月、関西電力など電力会社4社と新型の軽水炉を共同開発すると発表した。溶け出した核燃料が外部に漏れないよう原子炉容器の下に「コアキャッチャー」を備えるなどする。

新しい原発を建設しても営業運転できるのは早くても30年代になる見通し。政府・与党は電力の確保や脱炭素化の推進には既存の原発をさらに活用する方策も必要と考え、運転期間を延ばす方針だ。経産省も28日の行動計画案で方針を示した。

具体的には、原子力規制委員会による安全審査に合格していることを前提に、経産省が40年超の運転を認める仕組みに変える。最長60年とする骨格は維持しつつ、震災後の安全審査で停止していた期間などに限って運転期間から除外し、実質的に60年超の運転を可能にする。

23年の通常国会で関連法案の提出をめざす。運転期間の上限を撤廃する案も検討したが、当面は見送る。

再稼働の推進も掲げた。国の職員で構成する「地域支援チーム(仮称)」を創設し、原子力災害に備えた地域の避難計画の策定や地域の理解を得るための活動を手助けする。東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発(新潟県)は東電に対する県民の不信感が強く、再稼働の同意につなげるのは容易ではない。

原発の研究開発の強化に向け、開発、設計から建設、運転までを指揮命令できる司令塔機能の確立を進める方針も打ち出した。寿命を迎えた原発の廃炉を着実に進めるため、電力会社が国の認可法人に拠出金を払い、資金を確保する制度も設ける。供給網の維持に向け、部品メーカーの海外建設案件への参画も後押しする。

原発の活用策は岸田文雄首相が8月に検討を指示し、経産省が関係する審議会で議論を続けていた。

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