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コロナ、政治資金にも影響 パーティー収入28%減

政界Zoom 

新型コロナウイルスは政党や政治家の資金集めにも影響した。総務省が公表した2020年分の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)によると、全政治団体の収入総額は1037億円で19年に比べて6%減った。大型の国政選挙がなく支出総額も2割減少した。

大規模パーティー難しく

収入総額は最近10年ほどは1000億~1100億円で推移する。ピークだった1998年の1865億円に比べれば4割以上減った。

主要政党の本部の収入でトップは自民党で240億8100万円だった。共産党の202億8800万円、公明党の121億9800万円が続いた。20年9月に結党した立憲民主党は70億7600万円を計上した。

上位3党は収入を減らした。日本維新の会は15%増やし23億1000万円となった。19年の参院選で議席を伸ばし政党交付金が増額された。国民民主党は15億1900万円と公表した。

自民党は政治資金団体「国民政治協会」を通じて企業・団体献金を受けている。献金の額が最も多かったのは日本自動車工業会で8040万円だった。

同じ業界団体の日本電機工業会の7700万円が続いた。個別の企業ではトヨタ自動車が6440万円を同協会に献金した。

20年のはじめから国内で感染が拡大しはじめた新型コロナの影響は政治資金パーティーの収入減にはっきりあらわれた。全団体の収入総額は63億円で28%減った。

多くの客がホテルや宴会場に集まり飲食したり歓談したりする大規模なパーティーはなりを潜めた。クラスター(感染者集団)の発生を懸念し政治家の側が自粛した。

開催団体の数は385団体から296団体と89減った。そもそもパーティーを取りやめた団体があるほか、規模を縮小した例も多かった。

政党交付金に依存

政党助成法に基づく税金が原資の政党交付金に各党が依存する傾向は続く。自民党は172億円の交付金を受け収入総額に占める比率は72%にのぼった。党費は9億9000万円を集めた。

公明党への交付金は30億円で比率は25%となった。機関紙「公明新聞」などの事業収入が72億円で収入総額の6割弱を占める。

20年9月に結党した新立憲民主党と新国民民主党は例年とは収入の形態が異なった。旧立民、旧国民の解散により残った政治資金がそれぞれ分配された。

立民は38億円の交付金とは別に分配金を含む「その他の収入」が31億円あった。国民は交付金は5億円で、その他の収入は9億円だった。

共産党は政党助成制度に反対しており交付金を申請していない。収入総額の86%を機関紙「しんぶん赤旗」をはじめとする事業収入が占める。

維新は18億円の交付金を受け取った。比率は80%と高い。

首相の資金収入は1億6505万円

岸田文雄首相と菅義偉前首相、安倍晋三元首相の政治資金の収入を比較すると、岸田氏が1億6505万円で最も多かった。菅氏が1億537万円で続いた。安倍氏は9521万円を集めた。

岸田氏が政治資金パーティーで多額の収入を得た。1億2000万円超の売り上げを計上した。菅氏はセミナーなどの事業収入が4000万円以上にのぼった。安倍氏はパーティー収入が3700万円ほどだった。

派閥の資金支えるパーティー

自民党の各派閥の大きな収入源は政治資金パーティーだった。20年は新型コロナの感染拡大の影響で開催を延期した派閥が相次いだが、感染対策を講じて開いた。

収入が最多の二階派は2億2700万円に達した。例年のような飲食を伴うものではなくセミナー形式で開催した。出席者は同派の幹部らに絞り込み、所属する国会議員らに向けては中継の動画を配信した。

衆院選が間近に迫る時期のパーティーの開催だった。ある議員は「選挙に向けた資金集めのためにどうしてもやらないと」と語った。

麻生派は2億1700万円の収入を確保した。11月25日に茂木敏充幹事長が会長に就いた平成研究会(当時は竹下派)は1億8100万円を集めた。

政治家の政治団体では維新の鈴木宗男氏の21世紀政策研究会、首相の新政治経済研究会がそれぞれ1億円超のパーティー収入を得た。

21年衆院選に向け繰り越し

20年は大型の国政選挙がなく支出総額も減少した。新型コロナの感染拡大防止のため日常の政治活動を自粛・縮小したことも影響した。

19年から22%減の906億円だった。ピーク時は1990年の1878億円を記録した。政党別に見ると自民党、公明党、共産党などで支出が減った。自民党は185億円で前年より56億円減少した。

20年の時点で21年までに衆院選があることはわかっていた。与野党が政権のかかった選挙戦に備えて翌年に資金を繰り越した事例が目立った。繰越金は自民党が244億円、立民が44億円、維新が17億円に達した。

政党や政治家の資金管理団体などは年1回、前の年の収支を記載して政治資金収支報告書を提出する。政治資金規正法により義務付けられている。

記者の目 「政治とカネ」不祥事なお

政治資金はピーク時に総務省発表の中央分だけで年間総額1800億円を超えた。2020年は収入が1037億円、支出が906億円で大きく減少した。20年は大型の国政選挙がなく東京都知事選も新型コロナウイルスの影響で盛り上がらなかった。

政界全体でみると政治資金は減る傾向にある。リクルート事件や東京佐川急便事件がおこり政治改革の必要性が叫ばれた1990年代のような構造的な「政治とカネ」の問題は少なくなったようにみえる。

総額は減ったものの不祥事はなくならない。大規模な選挙買収や現職閣僚の収賄といった古典的な事件が記憶に新しい。

コロナ禍を契機として政治資金のやりとりのデジタル化を進め透明性を高めれば、不祥事の減少につながるかもしれない。(梅野叶夢)

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