電子処方箋普及へ追加策、厚労省検討 申請1割止まり

厚生労働省は27日、1月下旬に全国で運用が始まった「電子処方箋」について、普及に向けた追加策を検討すると明らかにした。利用申請が済んだ病院や診療所は全体の1割ほどにとどまっており、新たに繰り返し使用できるリフィル処方箋への対応などを進める。少子高齢化に伴い医療費の膨張が続いており、電子処方箋による重複投薬や過剰処方の抑制が欠かせない。
電子処方箋はこれまで患者が医療機関で受け取り、薬局に持ち込んでいた紙の処方箋をデジタル化する。患者は医師から聞いた処方箋の引き換え番号を薬局の薬剤師に伝えて薬を受け取る。患者が同意すれば医師や薬剤師が過去の服薬データも確認でき、重複投薬や悪い飲み合わせを見つけやすくなる。
厚労省は27日に関係団体との協議会を開き、日本医師会や日本薬剤師会などと現状の課題や普及に向けた対策を議論した。政府は2024年度末までにほぼすべての医療機関や薬局に広げる目標を掲げ、システム改修やカードリーダーの導入にかかる費用の一部を補助することなどで普及を後押ししている。

27日の協議会では業界団体から、導入への補助を費用の全額に増やすべきだといった要望が出た。厚労省は新たな普及策を検討すると説明し、例として9月以降に一定の期間内に繰り返して使用できるリフィル処方箋にも対応できるようにすることを挙げた。
足元の電子処方箋を利用できる拠点数(19日時点)は病院で6、診療所で46、薬局で632にとどまっている。利用申請済みの施設数を同省が21年度の調査で明らかにした全拠点数と比べると、病院や診療所で11~14%、薬局は24%程度となっている。
医師や薬剤師が電子処方箋を発行したり閲覧したりするのに必要な「HPKIカード」の取得が進んでいない。発行費用や導入にかかるカードリーダーの準備などの手間がハードルになっているとみられる。