気温上昇1.5度以内へ「努力」 G20、脱炭素は合意できず
イタリア政府は26日までに主要20カ国・地域(G20)気候・エネルギー相会合の共同声明を発表した。産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えることについて「努力を追求する」と盛り込んだが、2050年に脱炭素をめざすことは合意できなかった。先進国と新興国の溝は深く、声明文の発表に23日の閉幕から約2日を要した。
共同声明は「20年代の重要な10年間で行動を加速する必要性を強調する」と指摘。30年の温暖化ガスの排出量削減を巡り、「我々は10月末に始まる第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに目標を引き上げるつもりだ。すでに決めた国を歓迎する」と盛り込んだ。
非効率な化石燃料への補助金を段階的に廃止することは「重要な政策の一つであることに留意する」との表現にとどめ、具体的な廃止目標に言及しなかった。石炭火力の廃止年限も設定しなかった。
議長国のイタリアはこの2点について「G20の大多数が緊急性について同意したが、現時点で合意できなかった」と議長国声明で明らかにした。「10月30日と31日にローマで開催されるG20首脳会議に議論を委ねる」との考えを示した。
会合では欧米などと、温暖化ガスの排出量が多く石炭火力への依存度が高い中国、インド、ロシアが気候変動対策をめぐり対立していた。
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