中小企業の賃上げ実現へ「価格転嫁を」 連合の芳野会長 - 日本経済新聞
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中小企業の賃上げ実現へ「価格転嫁を」 連合の芳野会長

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連合の芳野友子会長は26日、報道各社の共同インタビューに応じた。2023年の春季労使交渉で掲げた5%程度の賃上げには中小企業の対応が重要と強調し「価格転嫁(の必要性)を引き続き発信していく」と述べた。「適正価格を認めないと賃金は上がらない」と消費者に理解を求めた。

芳野氏は物価高だけでなく人手不足が深刻化している現状にも言及した。「他社より劣る労働条件では人は取れない。働いている労働者も流出しかねない」と語った。労働組合員となっている正規社員だけでなく、非正規の労働者や非組合員も含めた全体の賃金底上げの必要性に触れた。

芳野氏はこれまで政府と経営側、労働者側の3者が一体で賃上げを進めるため、政労使会議の開催が必要だと主張してきた。ただ23日に芳野氏と経団連の十倉雅和会長と会談したことが一定の代替になっているとの見方もある。「今の段階では(3者での開催は)難しい」との認識を示した。

22年10月1日以降に順次、引き上げられた最低賃金を22年度内に再度上げるべきだとの意見があることについては「実務面で難しい」と話した。

日本は過去30年にわたり賃金上昇が鈍く、足元の賃金水準は他の先進国より低い水準にある。芳野氏は企業の短期的な利益の追求や株主重視によって「人への投資、未来への投資がおろそかになった」と要因分析した。

労働組合側も「雇用維持を優先し、賃上げ要求に強気な姿勢で臨めなかった」と振り返った。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。

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