マイナンバートラブル「政府一丸で対応」 岸田首相

岸田文雄首相は26日、マイナンバーを巡るトラブルが相次いでいることについて「重く受け止める必要がある」と述べた。同日の参院予算委員会で「信頼回復に向けて政府一丸となり対応する」と語った。

河野太郎デジタル相は26日のオンライン記者会見で関連する全てのシステムを点検すると明言した。首相の25日の指示を受けて表明した。一連の誤登録などが人為的なミスで発生しており、人手を介さないデジタルによる処理を広げる方針も示した。
「国民に不安を与えてしまい大変申し訳なく思う」と陳謝した。「新たな事案の発生が疑われる場合には速やかに担当の省庁と状況の共有や対応の検討を進め、国民が必要とする情報をデジタル庁から届ける」と強調した。
政府などからの支援金の受取口座の誤登録など、これまでに発生したトラブルの状況に関して説明した。
口座誤登録の原因が自治体の端末でのログアウト忘れであることを受け各自治体に聞き取りをかけた。1206自治体から回答があり、14自治体で計20件の他人の口座の登録が見つかった。

デジタル庁がマイナンバーへの口座の誤登録を初めに把握したのは2022年7月だった。「事案が最初に起きたときに横展開しシステム対応ができれば防げたミスだった」と指摘した。
確定申告での還付金の受取口座をマイナンバーとのひもづけに活用する例でも誤登録が新たに1件発覚した。国税庁で同姓同名の別人に取り違えて処理したことが原因だった。
マイナンバーカードと健康保険証を一体にする際に他人の情報をひも付けた事案では全ての健康保険組合などでの事務処理を点検している。「事務処理でマニュアルから逸脱しているところがあれば確認をしてもらう」と話した。
コンビニエンスストアでの住民票などの誤交付にも触れた。デジタル庁はシステムを開発した富士通Japan(ジャパン、東京・港)と親会社の富士通に停止を要請し一斉点検を進めている。
25日までに広域団体を含む123の自治体のうち12自治体で点検を終えた。残りの111自治体で速やかな実施を調整していると言明した。
マイナカードの交付などで得られるポイントを他人に付与した例は90自治体で計113件にのぼったと明かした。28件は正しい人への付与が済んだ。誤った処理が疑われる場合は申請した自治体や、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120・950178)に問い合わせるよう呼びかけた。
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