塩野義製コロナ薬、承認前提に100万回分購入 厚労省

厚生労働省は25日、新型コロナウイルスの飲み薬の供給について塩野義製薬と基本合意した。実用化した場合に政府がまず100万人分を確保し、その後も一定数量を調達する。国産薬の安定調達に向け、製造体制の準備などを後押しする狙いがあるが、十分な効果と安全性を示して薬事承認を得ることが購入の前提となる。
同社が2月、国産の軽症・中等症向け飲み薬として初めて製造販売の承認を申請した。臨床試験(治験)のデータを提出し「条件付き早期承認」の適用を求めている。本来は治療法の乏しい希少疾患などを対象とした制度だ。現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査している。
症状改善は喉の痛みやせきなどで一部確認できたが、目標としていた効果までは確認できなかった。感染能力を持つウイルスの減少は確認した。
塩野義は追加で安全性のデータを厚労省に提出する方針だ。国内やアジア3カ国での最終段階の治験のデータも整い次第提出する。欧州や北米などでも最終段階の治験を近く始める。重症化を抑える効果や安全性を調べ、日本以外での承認も目指す。
現在使用されている米メルク製や米ファイザー製は、海外で先に承認されたことに基づく「特例承認」で申請後、早期に認められた。後藤茂之厚生労働相は25日の記者会見で、塩野義製について「特例承認と比べて慎重な審査が必要だが、早期実用化に向けて優先かつ迅速に進める」と説明した。
政府は治療薬の開発を後押しするため、治験の支援に2021年度の新型コロナ対策予備費から150億円を充てる。後藤厚労相は「塩野義から申請があれば使ってほしい」と述べた。
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