防衛増税「丁寧な説明を」 政府有識者会議の議事録公開

政府は24日、2022年に開催した防衛力強化に関する有識者会議の全議事録を内閣官房のホームページで公開した。防衛費増額に伴う増税はやむを得ないとしつつも岸田文雄首相の丁寧な説明が必要だとの意見が大半を占めた。規模ありきで議論が進んでしまわないか警戒する声も上がった。
会議は22年9〜11月に計4回行われた。
座長の佐々江賢一郎元外務事務次官は初会合で、防衛力強化には「過去に例を見ない大幅な防衛費の増額が必要だ」と説明。「国民の将来のため、財政状況の改善も必要だと国民に率直に話して理解を求めるべきだ」と訴えた。異論はなかった。
第2回では財源確保策が主な論点となった。「防衛費の増額には幅広い税目による国民負担が必要なことを明確にして、国民の理解を得るべきだ」(喜多恒雄日本経済新聞社顧問)と増税やむなしの意見が続出。国債発行には否定的意見が複数出た。
報告書の取りまとめに入った第3回では日本総合研究所の翁百合理事長が防衛費増額に関し「規模ありきではなく、積み上げで検討すると書いてほしい」と要望。三井住友フィナンシャルグループの国部毅会長は「どれぐらい負担が必要なのか、首相から国民にメッセージを打ち出してもらいたい」と注文した。
報告書案が提示された最終回では、京大大学院の中西寛教授が国家安全保障戦略など安保関連3文書改定を巡り世論の支持を得るためには情報開示が重要だとくぎを刺した。
有識者会議と並行して与党ワーキングチームの議論が行われていたことを踏まえ「意思決定に誰がどう関わっているのか、必ずしも国民に見えない」と指摘した。〔共同〕
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