プルトニウムを仏に譲渡、ふげん燃料で原子力機構が発表

日本原子力研究開発機構は24日、新型転換炉ふげん(福井県、廃炉作業中)の使用済み核燃料を再処理してもらう契約をフランス企業と結んだと発表した。取り出したプルトニウムはフランス側に譲渡する。契約は燃料の輸送と再処理で同機構は約2億5千万ユーロ(約350億円)を支払う。
同機構によると、フランス側はプルトニウムを民生用原子炉の燃料の材料とし、日本以外の第三者が使う。譲り渡すプルトニウムについて、燃料の利用者が決まれば価格を定め、フランス側が同機構に対価を支払うことになった。利用者として電力会社などを想定している。
ふげんの使用済み燃料は731体あり、日本からの搬出は2023年度~26年夏ごろ、再処理は24年度~29年度の実施を予定している。再処理で約1.3トンのプルトニウムが取り出される見込み。再処理で発生する高レベル放射性廃棄物は日本に持ち帰る。
契約は24日付で相手はオラノ・リサイクル。
日本でふげん燃料の搬出先がないため、同機構はフランスでの再処理に向け準備してきた。日本は、プルトニウムを利用する核燃料サイクルを維持する一方、核兵器の材料にもなるプルトニウムの保有量を削減する方針。ふげんのプルトニウムは同機構で使途がなく、他国に譲渡するという異例の対応になった。
同機構は譲渡に関し「利用目的のないプルトニウムを持たないという政府方針を考慮して決めた」としている。
ふげんは出力16万5千キロワットで1979年に本格運転を始め、03年に運転を終了した。33年度の廃炉作業完了を目指している。使用済み燃料は、茨城県にある同機構の施設で再処理されたが、同施設は廃止が決まり、未処理のものがふげんと茨城県の施設に残っている。〔共同〕
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