秋田・千葉3海域の洋上風力、三菱商事などが事業者に

経済産業省と国土交通省は24日、秋田県沖と千葉県沖の3つの海域で洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表した。いずれも三菱商事を中心とする企業連合を選定した。3海域は再エネ海域利用法で促進区域に指定されており、事業者は最大30年間占有できる。促進区域では長崎県五島市沖で事業者が既に決まっているが、大規模な洋上風力としては初めて。
今回、事業者が決まった秋田県能代市、三種町、男鹿市沖は38基(出力48万キロワット)の計画で2028年12月の運転開始をめざす。同県由利本荘市沖は65基(82万キロワット)で開始予定時期は30年12月。千葉県銚子市沖は31基(39万キロワット)を計画し、28年9月の運転を予定する。いずれも風車を海底に固定する着床式で導入する。
売電価格は1キロワット時あたり11.99~16.49円。この価格で20年間、大手電力が買い取る。従来の固定価格買い取り制度では21年度の着床式の洋上風力は32円で、これより大幅に安い。大規模太陽光の10~11円を数円上回る水準となった。
3つ全ての案件を落札した三菱商事は「エネルギーの安定供給と脱炭素の両立という課題の解決をめざす」とコメントした。三菱商事は30年度に温暖化ガス排出量を20年度比半減にする目標を掲げる。3つの洋上風力の合計出力は最大約170万キロワットと、中規模の原子力発電所2基分にあたる。洋上風力を脱炭素戦略の柱に据え、目標達成へ投資を重ねていく方針だ。
協力企業には米アマゾン・ドット・コムとNTTアノードエナジー、キリンホールディングスが名を連ねた。各地域で環境保護や景観保全に取り組む。三菱商事はアマゾンなどと再生エネの開発などでも手を組む。
両省は6月、長崎県五島市沖の洋上風力の事業者に戸田建設などで作る企業連合を選定した。1.7万キロワットで風車を海に浮かべる浮体式の導入をめざしている。
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