衆院選資金、自民は解散直後に投入 立民は年明けから
21年政治資金収支報告書
25日公表された2021年分の政治資金収支報告書からは、4年ぶりの衆院選に臨んだ各党の対応が明らかになった。自民党は衆院解散の直後に全国の支部に多額の資金を投入。対する立憲民主党は年内に衆院選が実施されることを見越して、年明けから小まめに資金をつぎ込んだ。

自民は選挙前、党幹部に政策活動費として6億円超を支払った。政策活動費は使途の報告が不要なため、不透明さが付きまとう。
「261議席という貴重な支援をいただいた。責任政党として国民の負託に応えていく」。岸田文雄首相は衆院選から一夜明けた21年11月1日の記者会見で、戦績を振り返りつつ、抱負を語った。
大方の想定を裏切る形で衆院選日程を前倒しし、準備不足の野党に「奇襲」をかけ、大勝した。
自民は衆院が10月14日に解散されたのを受け、翌15日に多くの衆院小選挙区支部に1500万円を提供した。
29日には例年この時期に配る200万円を投入。苦戦が伝えられた首相の盟友、石原伸晃元幹事長の支部には「別扱い」で1千万円を上乗せしていた。
党幹部への資金提供も選挙が近づくと激しさを増す。10月1日に幹事長に就いた甘利明氏には、政策活動費として5日に3千万円が提供されたのを皮切りに、25日まで7回にわたり5千万円ずつ、計3億8千万円が支払われた。
このほか10月中に政策活動費を受けた党幹部は、遠藤利明選対委員長9500万円、麻生太郎副総裁5千万円、関口昌一参院議員会長3千万円など。甘利氏と合わせると、6億4千万円に上る。
菅政権まで幹事長を務めた二階俊博氏も1~8月に4億4千万円を手にした。ただ、いずれも何に使われたかは分からない。
立民は1月以降、投票日までの間、小選挙区支部に1回で1千万円を超す資金提供はなかったものの、10万~500万円の「支部活動費」を複数回にわたって投じた。10月には候補者個人に公認料500万円を提供した。
投票前の20日以降、小沢一郎氏ら3人の支部に、300万~500万円を投下したが、いずれも小選挙区で敗北。小沢氏ら2人が比例復活した。
立民は19年参院選で銀行からの借り入れなどで対応する「自転車操業」状態だったが、21年の借入金はなかった。30議席増で衆院第3党に躍進した日本維新の会も借り入れはせず、政党交付金が党の運営を支えた。
一方、れいわ新選組は繰越金を除く収入のうち、個人からの寄付が占める割合が他党に比べて突出して高い58.3%で、金額も3億円超と自民党に迫った。選挙期間中を含む街頭演説などで、小まめに匿名の寄付を集めたのも特徴だ。
野党の支出で際立つのは広告代理店などに支払う「宣伝事業費」の多さだ。立民は5億4千万円、維新は4億4千万円、共産党は3億1千万円を支出し、自民党の1億5千万円を上回った。〔共同〕