地方局経営柔軟に、複数県で同番組も 総務省放送改革案
総務省は24日、社会のデジタル化に対応した放送改革の報告書案を示した。同じ番組を複数県で放送できるようにする制度の新設など、地方放送局の柔軟な経営を後押しする内容だ。7月をめどに最終報告をまとめる。NHKのインターネット業務のあり方については今夏以降に作業部会を設置し、検討を始める。
同日の有識者会議で示した。人口減少下でも持続可能な放送制度づくりを念頭に「全て足並みをそろえるより、創意工夫を行う者を後押しする視点が重要」と提言した。
報告書案は放送の多様性や地域性に関するルール「マスメディア集中排除原則」の見直しを柱としている。認定放送持ち株会社の系列局への出資規制緩和を盛り込んだ。民放ラジオ局の保有を最大4局までとする制限は「緩和することが適当」と明記した。
県域を越えて同一番組を放送できるようにする新制度は、地域の独自性も保つために地方放送局が地域情報の発信状況を公表する仕組みを検討する。民放とNHKが中継局などのインフラを共用しやすくするため、設備を保有・管理する事業者の新設を可能にする。具体策は今後、関係者で協議する。
ネットの普及で放送環境は大きく変わった。2020年度には全世代で平日の平均のネット利用時間がテレビの視聴時間を上回った。放送法はNHKについてネット活用業務を補完的な「任意業務」に位置づけている。テレビを持たない人らに番組をネット配信する実証実験も踏まえ、今後のネット業務の位置づけを慎重に検討する。