世界景気2年ぶり下方修正 5月の月例報告、中国リスク

政府は25日にまとめた5月の月例経済報告で、世界景気の基調判断を「一部の地域において足踏みがみられるものの、持ち直している」に引き下げた。下方修正は20年4月以来、2年1カ月ぶり。上海などのロックダウンで中国経済が減速する影響を重く見た。
4月は「新型コロナウイルス感染症による影響が緩和される中で、持ち直している」との判断を示していた。政府は今回の判断の変更を下方修正だと説明している。ロックダウンの影響で上海は4月の生産が前年比62.6%減少し、中国全体でも2.9%減った。悪影響は中国の消費にも広がっており、4月の小売消費は11.1%減だった。米国やユーロ圏の経済については前月の判断を維持した。
国内景気の総括判断は「持ち直しの動きがみられる」を変えていないが、説明のなかで「新型コロナウイルスの影響」に言及しなかった。新型コロナに触れなかったのは20年2月以来、2年3カ月ぶりだ。
分野別には住宅建設と雇用情勢の判断を引き上げた。住宅の引き上げは8カ月ぶり。マンションなどの着工が進んだことを受けた。雇用情勢は失業率の低下や求人数の増加を背景に5カ月ぶりに上昇修正した。中国の活動制限の影響で、輸入は下方修正した。
消費者物価の表現も変更した。4月までの「緩やかに上昇している」から「上昇している」に変えた。消費者物価の「上昇」表現は、判断材料を生鮮食品およびエネルギーを除く指数に変更した2007年12月以来初めて。