実質賃金、コロナ前下回る 21年度 労働時間減響く
賃金の回復が鈍い。厚生労働省が24日発表した2021年度の毎月勤労統計によると、物価変動の影響を除いた実質賃金指数(20年=100)は100.6と新型コロナウイルス禍前の19年度の101.2を下回った。サービス業を中心に業務量の減少で労働時間が短くなり、賃金上昇を抑えた。
21年度の総実労働時間は月平均で136.0時間だった。指数で見ると100.6となった。20年度の99.6から回復したものの、19年度の102.7には届かなかった。
就業形態別では、とくにパートタイム労働者の労働時間の回復が遅れている。総実労働時間のうち、所定内労働時間の指数は21年度に99.5で、19年度の103.9に届かなかった。残業など所定外労働時間の指数は同94.8で、19年度の119.5を大きく下回った。
21年度はオミクロン型の感染拡大などでまん延防止等重点措置が出された時期もあり、宿泊業や飲食業などで影響が続いた。パートタイム労働者は同業種に多く、労働時間の回復が鈍かった。
名目賃金にあたる21年度の現金給与総額は、正社員など一般労働者が20年度比で1.0%増、パートタイム労働者が0.9%増だった。このうち、残業代など所定外給与は一般労働者が7.8%増だった一方、パートタイム労働者は0.3%増にとどまった。