景気判断11カ月ぶり下方修正 輸出不振で「一部に弱さ」 - 日本経済新聞
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景気判断11カ月ぶり下方修正 輸出不振で「一部に弱さ」

持ち直しを続ける日本経済に海外の景気減速の影響が出始めた。政府は25日に発表した1月の月例経済報告で、国内の景気判断を11カ月ぶりに下げて「一部に弱さ」との表現を加えた。新型コロナウイルスの感染が急拡大した中国への輸出が減少し、米欧向けも鈍い動きが続く。外需の低迷は企業業績を悪化させ、個人消費や設備投資の不振につながりかねない。

1月の国内の景気判断を「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」と下方修正した。2022年7月に「緩やかに持ち直している」に引き上げたあと、表現を据え置いていた。

国内の個別項目をみると、11項目のうち輸出、輸入、倒産件数の3つを下げた。輸出は21年11月以来14カ月ぶりに下方修正した。「おおむね横ばいとなっている」から「弱含んでいる」に変えた。

輸出の弱含みは中国向けの減少が影響している。内閣府の試算によると、12月に半導体製造装置が前月比で27.2%減、自動車部品が17.9%減だった。感染急拡大による中国国内での消費や生産活動の停滞が響いた。

ゼロコロナ政策の解除で中国経済は上向くことも想定される。内閣府の担当者は「小売りや飲食サービスなどの足元の指標をみると弱さがみられるのが現状だ」と説明した。

輸入の判断も「おおむね横ばいとなっている」から「弱含んでいる」に下げた。下方修正は3カ月ぶり。アジアや米国からの輸入が減った。今冬の電力逼迫に備え、原油や液化天然ガスの早めの備蓄が進み、輸入が減った可能性がある。

倒産件数は「おおむね横ばいとなっている」から「低い水準ではあるものの増加がみられる」に14カ月ぶりに引き下げた。コロナ禍での実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で業績悪化した企業の倒産を防いできたが、局面が変わってきた。内閣府によると、22年12月の倒産件数(季節調整済み)は625件で、20年8月(717件)以来の高水準となった。

世界経済についても判断を2カ月連続で下方修正した。「一部の地域において足踏みがみられる」から「一部の地域において弱さがみられる」に変えた。

中国は「弱さがみられる」と2カ月連続で判断を下げた。中央銀行の利上げで景気減速が見込まれる米国や英国に関しては判断を据え置いた。「足元で求人数が低下傾向にある」と言及し、企業が採用を抑えている可能性には触れた。

23年の世界経済は先進国を中心に減速が見込まれ、世界銀行の最新の23年見通しで世界の実質成長率は1.7%と予測する。外需が下振れすれば、国内の輸出企業の業績悪化につながる。国内での設備投資や従業員給与の減少に波及すれば、内需にも響く。

1月の月例報告は、コロナ禍からの回復途上にある日本経済のリスクとして「海外景気の下振れ」をあげた。海外動向に不透明感が強まれば、日本の回復基調に水を差しかねない。

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