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コロナ禍で給与8年ぶり減 20年度、下押し長期化も

(更新)
厚労省が発表した1人あたりの現金給与総額は月平均で31万8081円だった

新型コロナウイルス禍が賃金に影を落としている。厚生労働省によると2020年度の1人当たり現金給与総額(月平均)は前年度比1.5%減の31万8081円となり、8年ぶりに減少した。経団連の集計では21年の春季労使交渉の賃上げ率も8年ぶりに2%を割り込んだ。足元では緊急事態宣言が延長され、雇用環境の改善は遅れている。賃金の下押し圧力は長引く懸念がある。

厚労省が28日発表した20年度の毎月勤労統計調査(確報値)にはコロナの打撃が鮮明に表れた。賃金の落ち込みが目立ったのは、飲食サービス業(7.0%減)や運輸・郵便業(5.4%減)など。外出の自粛などの影響を受けやすい業種だ。

パートタイム労働者の数は1593万5000人で0.9%減った。減少は調査を始めた1990年以来初めて。不安定な就労環境で雇い止めが広がった可能性がある。

月間の総実労働時間も3.0%減り、134.6時間となった。休業や営業時間の短縮で残業時間が少なくなった。残業代などの所定外給与は1万7028円で、13.3%の大幅減だった。

賃金の伸び悩みはコロナ前からの構造問題でもある。15年を100とする指数でみると、19年度に消費者物価は102.4、名目賃金は102.3。他の先進国に比べると鈍い物価上昇のペースにさえ賃金の上昇が追いつかない状態だった。20年度の下落率も物価の0.3%に対し、名目賃金は1.5%に達した。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「コロナ後も賃金が上がらない状態が続くのではないか」と懸念する。外需に引っ張られる製造業などは上向く可能性があるが、サービス業は厳しい環境が続いて「二極化していくだろう」との見方を示す。

足元の雇用指標もさえない。総務省が28日発表した4月の完全失業者数は前年同月比20万人増の209万人で、15カ月連続で前年を上回った。就業者数は29万人増えて6657万人となったが、2年前と比べると51万人少ない。景気の先行指標となる新規求人数も2年前の8割ほどで、コロナ前の水準は遠い。特に宿泊・飲食業の新規求人はほぼ半減の状態だ。

経団連が同日発表した21年の春季労使交渉の1次集計結果によると、大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は1.82%にとどまった。安倍晋三前政権による賃上げ要請が始まる前の13年以来、8年ぶりに2%を割り込んだ。最終集計は7月中をめどに公表する。

全体として賃金が増えなければ内需の柱の個人消費は拡大しにくい。経済成長の鈍化で企業業績が伸びず、さらに賃金の下押し圧力となる。コロナ禍が長引くと、デフレ経済の悪循環に逆戻りする恐れもちらつく。

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