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コロナ飲み薬、ワクチンと両輪 早期投与へ検査拡充急務

新型コロナウイルスの軽症患者用で国内初の飲み薬として米メルク製の「モルヌピラビル」の特例承認が24日決まった。今後、米ファイザー製などの実用化も見込まれる。従来の点滴薬に比べ外来や自宅などで治療しやすくなり、コロナ対策の新たな切り札になる期待がある。発症早期に服用する必要があり、検査の拡充が求められる。

コロナ対応の大きな課題の医療の逼迫回避には、軽症者の重症化をいかに防ぐかが重要になる。これまで軽症向けでは中外製薬の「ロナプリーブ」、英グラクソ・スミスクライン(GSK)の「ソトロビマブ」の2種類があった。

いずれも点滴で基本的に医療機関でしか投与できなかった。経過観察なども必要だ。11月末までに約3万7千人が使ったロナプリーブも導入施設は数千にとどまる。

足元では新たな変異ウイルス「オミクロン型」が広がりつつある。感染拡大の「第6波」に備える意味で、外来や自宅で利用しやすい飲み薬の登場は大きい。後藤茂之厚生労働相は24日の記者会見で、特定地域を優先はせず「全国に一斉に配送を始める」と説明した。

メルクが臨床試験(治験)で効果を確かめたのは発症から5日以内の感染者。早期に飲み始めるには、感染の不安や症状が出た時点ですぐに検査を受けられる体制が不可欠だ。

これまで確定診断につながる行政のPCR検査を受けるのに数日かかるケースがあった。検査会社によっては結果判明にもさらに数日かかる。抗原検査キットや民間のPCR検査を自費で利用した場合でも、薬の処方には医師の診察が必要だ。

オンライン診療の普及促進も鍵を握る。後藤氏は「患者が薬局に来なくても手に入れられるように配送体制を整備したい」と話した。東京都はオミクロン対策として都内全域でのオンライン診療導入に乗り出した。厚労省は夜間や休日の対応も可能な体制を全国で整える考えだ。

メルク製が全員に効くわけではない。重症化を抑える効果は3割程度だ。次の薬の実用化も期待される。有望視されるのは米ファイザーの「パクスロビド」だ。治験では発症から3~5日以内の患者の入院・死亡リスクを9割近く減らせた。

米食品医薬品局(FDA)は22日、持病などで重症化リスクの高い12歳以上を対象に緊急使用許可を出した。米政府は既に1000万回分の調達契約を結んでいる。未承認の欧州連合(EU)も当局は「重症化するリスクが高い成人の治療に使用可能」との助言を出した。ファイザーは日本でも近く承認申請するとみられる。既に政府が200万回分を契約済みだ。

メルクとファイザーの治験成績を単純比較はできない。急拡大するオミクロン型にどの程度有効かといったデータもまだ乏しい。飲み薬の選択肢の拡大も必要だ。

塩野義製薬は最終段階の治験に入っている。有効性に関するデータはまだ公表していない。オミクロン型に対しては実験室レベルの検証で増殖を防ぐ効果を確かめている。国内のコロナ患者数が足元で低水準なことから、韓国やシンガポール、ベトナムなどでも最終治験を始め、実用化を急ぐ。

薬の開発がすべて順調なわけではない。米アテア・ファーマシューティカルズとスイス・ロシュが開発していた飲み薬は治験の中期段階で有効性が確認できなかった。ロシュ子会社の中外製薬は16日、国内での実用化を断念すると発表した。

コロナウイルスは変異を繰り返す。治療薬開発も先の長い戦いになる。

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