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火力発電排出枠に課金 カーボンプライシングで経産省案

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経済産業省は二酸化炭素(CO2)の排出に負担を求める「カーボンプライシング」について火力発電への導入を検討する。企業間でCO2排出量を取引する市場に参加する大手電力会社などに2031年度以降、負担を求めると想定する。電力会社などが払うお金は政府による脱炭素支援の財源とする。一連の施策で温暖化ガスの排出削減を促す。

政府は50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロとするため、企業による脱炭素投資を支援する新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」を発行して計20兆円規模を集める予定だ。カーボンプライシングはGX債の償還財源となる。

岸田文雄首相は10月に開いた官邸のGX実行会議で「具体的な制度案を提示してもらいたい」と指示し、経産省などが制度設計を進めていた。11月末にも開くGX実行会議で首相に成案を示し、年内のとりまとめをめざす。

24日に開いた審議会で経産省は、カーボンプライシングで2つの手法案を提示した。一つが排出量取引で、発電部門にCO2の排出枠を買い取らせる。同日の資料では「発電部門への段階的な有償化導入を検討してはどうか」と明記し、イメージとして31年度以降に導入するとした。

石炭や天然ガス、石油を燃料に使う火力発電所からCO2が出るため、火力発電に負担を求める。環境省によると20年度の日本のCO2排出量のうち発電由来は4割ほどを占める。欧州の排出量取引市場では発電部門に対し排出枠を有償で買い取らせている。

カーボンプライシングに関するもう一つの仕組みが賦課金だ。経産省は同日、化石燃料の輸入企業などに導入する案を示した。CO2の排出源となる化石燃料からの転換を促す。電力・ガス・石油元売り・商社などが想定される。

カーボンプライシングを導入することで、電力会社などの負担は最終的な製品やサービスの価格に転嫁されることになる。経産省は制度導入で国民負担が急増しないようにする。

現状でも企業などはエネルギーに関連する税や賦課金を支払っている。石油石炭税や、再生可能エネルギーの発電を促すために電気料金に上乗せされる賦課金が代表的だ。

石油石炭税は脱炭素化が進むことで今後、税負担が減ると見込まれる。再生エネの賦課金も普及を急いだ東日本大震災の直後から20年間は賦課金の負担が重いが、32年度以降は負担が軽くなっていく。経産省は既存の税や負担の減少に入れ替わる形で新たにカーボンプライシングを段階的に導入する方針だ。

電力部門の脱炭素化が進んでも、鉄鋼や化学といった多排出産業でどのように排出削減を促すかは課題となる。運輸部門も電力に由来しないCO2を排出する。

日本ではまだカーボンプライシングが本格的に導入されていない。EUの排出量取引は大規模に排出する企業などに参加を義務付ける規制として制度化している。フランスや英国では参加義務のない企業を対象に炭素税を課して公平性を高めている。日本の排出量取引は自主参加のため、排出量が多いのに市場に参加しないといった抜け道もあり、賦課金の導入が欠かせない。

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