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空き家新税は固定資産税の半額相当 京都市、総務相同意

総務省は24日、京都市が導入を目指す空き家への課税に松本剛明総務相が同意したと発表した。空き家などの所有者は現在の固定資産税に加え、同税の半額程度の負担を新たに迫られる。子育て世帯への住宅供給が不足する京都市で新税の導入が人口流出を防ぐ手立てになるのか注目を集める。

京都市は新税「非居住住宅利活用促進税」の導入を盛り込んだ条例を2026年度にも施行する。自治体が条例で新税をつくる「法定外税」に当たり、導入には総務相の同意が必要になる。

空き家対策を主な目的として居住者のいない住宅の所有者に課税する法定外税は、現行制度になった2000年以降では全国初とみられる。

京都市は市内にある「空き家新税」の対象物件を約1万5千件と見込む。所有者は固定資産税に加えて新税の負担が必要になり、税負担は現状の1.5倍程度になる計算だ。家屋と土地の双方に課税し、合計額の負担を求める。

市の試算によると空き家新税の年額は、例えば山科区の築20年の戸建て(約100平方㍍)で1平方㍍あたりの土地評価額約10万2千円、家屋評価額が約270万円として約3万3千円と見込む。伏見区の築40年のマンション(約60平方㍍)では1平方㍍あたりの土地評価額約6万8千円、家屋評価額が約270万円として約2万4千円と見積もる。

日常的に住んでいなければ課税対象となる。居住が1週間のうち何日以下といった基準は示しておらず、個別事例ごとに判断するという。戸建てを購入したが、転勤により5年を超えて住んでいないケースなども対象になる。

市は固定資産税などのデータから住民登録の有無を確認する。住民登録がない場合に所有者に居住状況を聞く調査票を送ると共に、地図業者などに委託して現地に確認に行く。施行後にかかる費用約2億円の大半がこうした業者への委託費用だという。

空き家新税を導入する背景には、京都市でマンションなどの住宅供給不足が課題になっていることがある。建物の高さを最大31メートルなどに制限する全国でも厳しい景観規制をしいており、高層マンションの開発が難しい。新築マンション価格は過去2年で4割上昇し子育て世代などが市外に流出する一因になっている。

京都市の人口は21年の1年間だけで約1%にあたる1万1900人減り、減少幅が2年続けて全国の自治体で最大だった。22年の転出者が転入者を上回る転出超過は2228人で、年代別では25〜29歳が最大の1633人の流出となった。

政府は今通常国会で、空き家の発生を抑えて活用を促す空き家対策特別措置法改正案の成立をめざしている。窓や壁の一部が壊れているような管理不全の空き家について税優遇の対象から外す。公示地価500万円弱の土地にある空き家の場合、特例から外れると年間の固定資産税の納税額は8千円から3万3千円と約4倍に増える。

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