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財政政策、永浜利広氏「脱炭素など歳出増で需要喚起を」

参議院選挙2022「私の視点」(6)

参院選は7月10日に投開票を迎えます。日経電子版の「Think!」で日々のニュースに解説を投稿している各界エキスパートに注目点を聞きました。6回目のテーマは財政政策。エキスパートは第一生命経済研究所首席エコノミストの永浜利広氏と、法政大教授の小黒一正氏です。

永浜氏「経済が温まれば、財政状況は自然と改善」

何が何でも財政を健全化しなければならないという議論は国際標準からずれている。過去20年でみると、日本は主要7カ国(G7)で政府債務の増加率が最も小さい。

財政規律に縛られ、必要な財政支出をしてこなかった日本経済が長期停滞を続けるのは当然の帰結といえる。

需要不足を脱し、経済を正常化させるのが先決となる。金融緩和が限界に近いなか、財政支出を膨らませる以外に需要喚起の方法はない。

基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化より、まずは経済の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」をプラスにする目標時期をかかげた方がいい。

脱炭素やデジタル、経済安全保障を中心に政府が投資を主導してほしい。食品やエネルギーといった生活必需品の消費税の時限的な免除や、省エネ投資への減税も需要喚起の効果を期待できる。経済が温まれば、財政状況は自然と改善する。

日本は国債の半分を日銀が保有する。支払った利子のうち、日銀の利益になる分は最終的に国庫納付金として返ってくる。単純な政府債務残高だけでなく、日銀保有分を除いた残高で健全性を測ってみてもいい。

永浜利広さんのThink!解説付き記事を読む

小黒氏「防衛費増額で赤字国債発行あり得ない」

コロナ禍で膨張した財政運営の正常化がまず問われる。国と地方のPBは2025年度の黒字化は難しい。30年度ぐらいまでに黒字化できる目標を参院選後につくる必要がある。

防衛費を増やすならば、恒常的な予算となる。安定財源の議論から逃げてはならない。痛みを伴う改革を進め、財源を確保すべきだ。赤字国債の発行で財政基盤を弱める選択肢はあり得ない。

人口減少と少子高齢化のなかでの社会保障改革も欠かせない。年金や医療、介護ともに現役世代から徴収した財源で高齢者を支えている。出生数が想定よりも早く減少している。少子高齢化対策の予算のあり方も含めた議論が必要となる。

日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)はほころびが出始めている。いつまでも金利を維持できると考えるのは賢明ではない。金利上昇による利払い費の増加も視野に、PB目標づくりと社会保障改革を進めなければならない。

政府の社会保障給付費の将来見通しでは、18年度から40年度にかけた医療費の伸びは国内総生産(GDP)比で2%ほど。1年あたり0.1%程度にすぎない。この伸びを抑えるだけで医療費は安定する。

小黒一正さんのThink!解説付き記事を読む

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参議院選挙2022

2022年夏の参議院選挙(6月22日公示・7月10日投開票)は岸田文雄首相にとって事実上、初めて政権運営の実績が評価される場となりました。開票結果やニュース、解説などをお伝えします。

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