岸田首相「高市氏が丁寧に説明」 文書「捏造」発言巡り

岸田文雄首相は23日、総務省の行政文書を「捏造(ねつぞう)」と表現した高市早苗経済安全保障相に趣旨を説明させる考えを示した。「捏造という言葉の使い方は大臣(高市氏)から丁寧に説明させていただきたい」と述べた。
高市氏は放送法の政治的公平に関する行政文書について「捏造」と明言していた。
首相は同日の参院予算委員会で立憲民主党の田名部匡代氏の質問に答えた。「文書の正確性は総務省で精査している。同省で精査の中身について説明すべきだ」と話した。
松本剛明総務相は文書に登場する人物の間で「認識が一致していない」と答弁した。
田名部氏は「高市氏は十分に確認もせず、曖昧な記憶に基づいて捏造と言い続けている。引くに引けなくなっている」と指摘した。「自分を守るために官僚を侮辱している。公文書制度や行政の否定だ」と批判し、高市氏の罷免を求めた。
立民の長妻昭政調会長は23日の記者会見で「捏造でないと総務省も示している。発言を撤回、謝罪していないことは問題だ」と強調した。「けじめをつけてもらわないと政治のたがが緩みっぱなしになってしまう」と訴えた。
首相は参院予算委で「放送事業者が自主的、自律的に放送法を順守することが原則だ」とも明言した。「放送法の理念は従来から一貫して維持されていると理解している」と語った。
「表現の自由は憲法で保障された基本的人権の一つで民主主義を担保するものだ。最大限尊重するのは当然だ」とも触れた。
放送法4条は放送局が番組を編集する際①政治的に公平であること②報道は事実を曲げないこと――などを定める。
松野博一官房長官は内閣広報室がテレビの報道番組の記録を作成していると明らかにした。
5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)のロゴマークの使い方も参院予算委で議論になった。
野党側が首相の後援会の会合でロゴ入りのまんじゅうやペンが手土産として配られたと問題視した。外務省は政治活動を目的としたサミットのロゴ使用は認めないと規定する。野党は使用承認条件を満たしていないと指摘した。
首相は同省から機運醸成に資するとして承認を得たと回答した。「今後は慎重に対応しなければならない」との認識を示した。