電力不正閲覧「遺憾」 経産相、中立性確保へ対応検討

西村康稔経済産業相は23日の閣議後の記者会見で、大手電力の送配電子会社が親会社の大手電力に対し、新電力の顧客情報を漏洩する事例が相次いで発覚していることについて、「中立性、公正性を揺るがしかねないもので大変遺憾だ」と述べた。中立性の確保に向けて必要な対応を検討する考えを明らかにした。
西村氏は「顧客情報の適切な管理と小売り側への情報遮断は送配電子会社の電気事業法上の義務で、中立性、公平性、公正性の土台だ」とし、「電力小売りの公正な競争を揺るがしかねない」との認識を示した。
経産省の電力・ガス取引監視等委員会と電力各社はこれまでに、関西電力と東北電力、九州電力、四国電力で情報漏洩があったと公表している。別の大手3社からも問い合わせがあるという。
大手電力は2020年4月に送配電部門を分社化した。送配電子会社は地域独占で新電力の顧客情報も管理する。電気事業法は競争を阻まないよう大手電力の小売部門との情報共有を禁じているが、一連の事案は情報管理が適切ではなかった。
監視委は各社に詳細な報告を求めており、関電と関西電力送配電は13日に報告書を提出。報告結果を踏まえて必要な処分を検討する。西村氏は処分に関して「委員会の調査結果を踏まえて適切に対応したい」と述べるにとどめた。