洋上風力発電の公募、1社独占を制限 早期稼働も重視
経産省などルール案

経済産業、国土交通両省は23日、洋上風力発電に参加する事業者を増やすための新たな公募ルール案をまとめた。複数の海域で同時に事業者を募る場合、特定の企業連合がすべて落札するのを防ぐ仕組みとする。運転開始時期が早い提案への評価も高める。多くの企業が参入できるようにして、洋上風力が普及する環境を整える。
政府は2050年の脱炭素化に向けて再生可能エネルギーを主力電源化する方針を打ち出している。切り札と位置する洋上風力の早期導入に向け、コスト低減と企業参入拡大の両立は課題として残る。
洋上風力では21年12月に、初の大規模な公募だった秋田県沖と千葉県沖の3海域すべてで、三菱商事の子会社を中心とする企業連合が選ばれた。他社より大幅に安い価格で発電する計画が評価された。一方で脱炭素化には早期の運転開始も重要で、多様な企業が選ばれる仕組みにすべきだとの指摘が出ていた。
公募では価格や事業の実現性を240点満点で評価し、点数の高い事業者を選定している。新たなルールでは複数の海域で同時に公募する際には、企業連合あたり100万キロワットを上限とする。次点との点差が大きい海域から選ばれ、上限に達したら他の海域への提案は無効とする。制限を設けるかどうかや上限の規模は公募のたびに判断し、次回の公募には適用する。
運転開始時期の評価は240点満点のうち「事業計画の実現性」(20点)の一部の要素だった。新たなルールでは「計画の迅速性」を20点満点で評価する。価格への配点は120点に据え置く一方、両省が満点を得られる価格をあらかじめ定める。事業者がそれより安い価格で提案しても一律120点として評価する。
両省は23日の審議会に次回以降の公募ルールの案を示した。一部の委員から反対が出たものの、座長と委員長に対応を一任した。一定の修正をしたうえで意見公募にかけ、年内の決定を目指す。
昨年12月の選定結果は三菱商事グループの提示した発電価格が極めて安かった。早期稼働などの要因が評価されにくい仕組みになっており、3月以降、審議会で見直しを議論していた。
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