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対ロ経済制裁 岸田首相の発言全文

(更新)

ウクライナ東部の一部地域の独立を一方的に承認したロシアへの経済制裁を巡る岸田文雄首相の23日の発言全文は以下の通り。

【冒頭】

2月22日、ロシアはウクライナの一部であるいわゆる2つの共和国との条約の批准、自国領域外での軍隊の使用に関する連邦院決定など一連の措置を進めた。明らかにウクライナの主権、領土の一体性を侵害し国際法に違反する行為で改めて強く非難する。ロシアに外交プロセスによる事態の打開に向けた努力に立ち戻るよう強く求める。

先ほど政府関係部局の幹部から事態の推移や各国の対応に関し報告を受けた。事態は緊迫度を増しており引き続き重大な懸念を持って注視していく。

この問題に国際社会と連携して対処する観点から日本として次の制裁措置をとることとした。1つ目は、いわゆる2つの共和国の関係者の査証(ビザ)発給停止および資産凍結。2つ目は、いわゆる2つの共和国との輸出入の禁止措置の導入。3つ目として、ロシア政府による新たなソブリン債の日本における発行、流通の禁止などだ。

今後これらの措置の詳細を決定し、必要な手続きを速やかに進めるよう指示した。今後事態が悪化する場合には主要7カ国(G7)をはじめとする国際社会と連携してさらなる措置を速やかに進めるよう取り組む。

ウクライナ在留邦人の安全確保のためにも全力を尽くす。避難措置など邦人保護業務を行うため西部のリビウに臨時の連絡事務所を設け、隣国において退避のためのチャーター機を手配済みだ。引き続きできる限りの手段を講じ邦人保護に取り組む。

エネルギーの安定供給についても申し上げる。原油市場の安定に向けて国際的に連携して取り組む。現在、原油は国、民間合わせて約240日分の備蓄があり液化天然ガス(LNG)も電力会社、ガス会社で2、3週間分の在庫を有している。今回の事態がエネルギーの安定供給に直ちに大きな支障を来すことはないと認識している。

原油価格高騰に対する備えにもしっかり取り組む。今後さらに原油価格が上昇し続けたとしても国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えることができるように何が実効的で有効な措置かという観点からあらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかり検討し対応していく。

ウクライナをめぐる事態は緊迫度を増している。政府としても事態の改善に向けて国際社会と連携して取り組む覚悟だ。

【質疑】

――経済制裁は具体的にいつごろをメドに発動する予定ですか。

日本の基本的な考え方、制裁の骨格は今明らかにした通りだ。これをより詳細に詰めていく。手続きなどが必要になる部分もあり、手続きが終わり次第、発効することになる。詳細は事務的に確認していただきたい。

――今後仮にロシアの軍事的侵攻が認められた場合のさらなる措置はどうしますか。

今後の推移については予断は許されない。いろんな可能性があると承知している。今後事態が悪化する場合にはG7をはじめとする国際社会と連携し、さらなる措置も速やかに考えていかなければならないと認識している。具体的に事態がどう推移するか確認し、米欧ともしっかり意思疎通、情報交換を図りながら日本の対応を進めていくというのが基本的なスタンスだ。

――今後、半導体分野の輸出規制などに踏み込みますか。

具体的に今、日本として確認し明らかにしているのは先ほど申し上げた部分だ。今後については事態がどう推移するかわからない。さらなる措置は今後の事態の推移、各国の動きなども確認し、情報交換した上で確定していく。具体的な点について今申し上げるのは難しい。

――原油価格の高騰対策についてあらゆる選択肢を排除しないと発言がありましたが、トリガー条項(の凍結解除)やそれに準じた措置を指しますか。

再三申し上げているがあらゆる選択肢を排除しない。事態の推移を見て、それに対して何が有効的なのか考えていかなければならない。今後の事態の推移や価格動向を見た上で具体的に確定していかなければならない。その際に、あらゆる選択肢は排除しない。

――日本政府はロシアによるウクライナ侵攻が始まったという認識ですか。

これも再三申し上げているが、ロシアに対する一連の措置、これはウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、国際法に違反するもので決して認められるものではない。強く非難する。

日本としてこの事態に対しそうした評価のもとに態度を示している。今後の推移を注視し、欧米との意思疎通も図りながら適切に対応したい。

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