出資者とスタートアップの取引慣行調査 公正取引委員会

公正取引委員会は23日、スタートアップと出資者の取引慣行について報告書をまとめた。出資側が対価を払わず無償で作業することを要請したり、秘密保持契約(NDA)を結ばずに営業秘密の開示を求めていたりする実態があった。これらの行為は独占禁止法違反に該当する恐れがある。公取委は出資企業などに注意喚起する文書を送った。
未上場のスタートアップと、スタートアップに出資や事業連携している企業の計約5800社から回答を得た。
秘密保持契約を結ばずに営業秘密の開示を要請していた出資者・連携事業者が22社あった。スタートアップ側によると、契約で定めていないのにもかかわらず、無償での作業を6社が要請していた。共同研究の成果なのに、スタートアップの知的財産を一方的に自社のものにした出資者も7社いた。
公取委と経済産業省はスタートアップへの出資などに関して適正な取引を求める指針を公表している。指針では、無償作業の要請や不適切な情報開示要請などの行為は独禁法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあると明記している。公取委は調査結果をふまえて、8社に対して注意喚起する文書を送った。