23年度予算案決定、過去最大114兆円 国債依存なお3割
コロナ有事の財政、脱却できず

政府は23日、一般会計総額が過去最大の114兆3812億円となる2023年度予算案を決めた。新型コロナウイルス禍で拡張した有事対応の予算から抜けきれず、膨らむ医療費などの歳出を国債でまかなう流れが続く。米欧で1~2割前後に下がった借金への依存度はなお3割を超す。超低金利を前提にしてきた財政運営は日銀の緩和修正で曲がり角に立つ。
23年1月召集の通常国会に予算案を提出する。一般会計で当初から110兆円を超えるのは初。

歳出は社会保障費が36兆8889億円。高齢化による自然増などで6154億円増えた。国債の返済に使う国債費は9111億円増の25兆2503億円。自治体に配る地方交付税は一般会計から5166億円増の16兆3992億円を計上した。
切り込み不足で増大するこうした経費をまかなう歳入は綱渡りだ。税収は企業業績の回復で69兆4400億円と過去最大を見込む。それでも追いつかず、新たに国債を35兆6230億円発行して穴埋めする。うち29兆650億円は赤字国債だ。
歳入総額に占める借金の割合は31.1%と高水準。00年代半ばまでは2割台だったのがリーマン危機後の09年度に4割近くに跳ね上がって以降、3~4割台で推移する。
大規模緩和前の00年代半ば、日本の長期金利は1%を超えていた。10年代に入って長期金利0%台以下になるのに合わせるように政府は国債への依存度を高めた。
各国で基準をそろえた公債依存度をみると日本も米国やドイツといった他の先進国もコロナ下の20~21年度は一様に4~5割前後に高まった。米独は22年度に2割台前半に下がった。日本だけが3割台で高止まりする。

コロナ禍や物価高、ウクライナ情勢に柔軟に対応するための予備費は計5兆円を盛り込んだ。危機対応の予算編成がなお続いていることを示す。
結局、次の成長への予算配分は乏しい。脱炭素の研究開発にはエネルギー特別会計で約5000億円を積んだ。量子や人工知能(AI)などの科学技術振興費は微増の1兆3942億円。これらを足し合わせても2兆円程度にとどまる。
経済が停滞したまま債務だけが増大する悪循環の出口は見えてこない。
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