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成長回復へDX課題、中小で導入・検討4割のみ 経財白書

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西村康稔経済財政・再生相は24日の閣議に2021年度の経済財政報告(経済財政白書)を提出した。新型コロナウイルス禍でも景気は回復局面にあるとしつつ、成長への課題にデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れを挙げた。中小企業はDXの導入・検討が4割にとどまる。成長分野への労働移動を促すため、大学などで学び直す「リカレント教育」の推進も求めた。

白書は内閣府が日本経済の現状を毎年分析し、今後の政策立案の指針の一つになる。国内の景気は「回復局面にあるものの、その歩みは緩やか」と分析した。設備投資や住宅投資が好調だが、緊急事態宣言などで消費の持ち直しは鈍い。足元では半導体不足や自動車部品などのサプライチェーンの混乱が懸念材料となっているとして、供給網の「強靱化」も課題にあげた。

感染拡大から2度目となる21年度白書は、コロナ禍で浮き彫りとなった官民の課題を明らかにし、解決の道筋を示した。

特に官民のデジタル化の遅れを「重点的に取り組むべき課題の筆頭」と強調した。企業のDXの導入状況の調査によると、大企業は「計画策定中」も含めて全体の74%が対応していたが、中小は「検討中」を含めても38%にとどまった。取り組みに差が生じている。

デジタル対応に必要な人材の不足が顕著になっている。

企業にデジタル化を担う人材の過不足を聞いたところ、全体の55%が不足と回答した。海外企業と競合する大企業は76%が不足と答えたが、国内取引の多い中小は50%だった。中小では「必要ない」の回答も17.7%あった。開発者と利用者の双方でデジタル技術にたけた人材の育成が欠かせない。

情報通信分野への投資も少ない。日米の情報通信業が費やす研究開発費を対名目国内総生産(GDP)比でみると、日本は0.11%で米国(0.44%)の4分の1だった。企業のデジタル対応への投資意欲は強く、白書では「波及効果の大きい分野への資源配分の拡大」を求めた。

長引くコロナ禍で企業の債務は膨らんでいる。21年6月末時点で全産業(金融・保険除く)の債務は、16~19年平均を基に算出したペースと比べて27.1兆円増えた。

売り上げの減少で運転資金を確保するため、借り入れを増やす企業が多い。特に飲食業は2.6兆円増えるなど外出自粛の影響を受けやすい業種で顕著だ。金融機関には企業の経営再建や成長分野への事業転換の支援を促した。

今後は企業がリスクを取って事業の再構築に取り組む必要がある。デジタルやグリーンなど成長産業への円滑な労働移動を後押しするため、社会人が大学などで学び直す「リカレント教育」の強化などを求めた。

ただ転職の際にかかる費用や時間的な余裕のなさを負担と訴える人も多い。働きながら学び直す「教育訓練給付制度」などの支援策の活用を求めた。

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