AI使う場合は労使で意見交換を、厚労省検討会が報告書

厚生労働省の有識者検討会は22日、人工知能(AI)などの新技術を導入する場合に、労使のコミュニケーションが重要になると明記した報告書をまとめた。新技術の活用が現場の実態に即さなかったり、納得感が得られなかったりすると生産性が向上しないとの懸念を示した。労働者が不満を募らせてSNS(交流サイト)で対外的に発信して企業に損害を与える事例も挙げた。
報告書は「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(座長・守島基博学習院大教授)」がまとめた。
労働政策研究・研修機構の調査によると、過去5年間に調査企業の3割がこうした新技術を導入し、その半数が労使で話し合った。残りの半数は経営判断などを理由に協議しなかった。協議した場合は9割で現場の意見を反映するといった取り組みがみられた。
報告書はデジタル化やAI活用について「働き方自体の変化を必要とすることからも労使コミュニケーションの重要性は増している」と記した。企業が従業員のキャリア形成を支援する必要性を強調した。労働組合にも技術革新による環境変化への対応を求めた。
労働者が職場での不本意な処遇のために会社名を特定する形でSNSに書き込み、社会的な批判につながる事例も挙げた。不満が募りにくい企業文化や、相談窓口の設置提案なども報告書に盛り込んだ。