コロナワクチン無料接種、23年度も 高齢者らは年2回

新型コロナウイルスワクチンの無料接種が2023年度末まで続く見通しとなった。厚生労働省の専門家分科会が政府案を了承した。高齢者らは同年度中に2回の接種が可能で、5月にも始める。政府は5月にコロナを感染症法の「5類」に移すが、流行の拡大に備え、重症化予防のカギとなるワクチンは公費負担を維持する。
65歳以上の高齢者らは23年度内に最大2回、それ以外の多くの人は1回の接種を想定する。米国やイスラエル、英国など海外でも年1回を想定する国が多い。
2回接種の対象となるのは高齢者や基礎疾患のある人、医療従事者や高齢者施設・障害者施設で働く人。リスクの高い人や、そうした人と接する機会の多い人に手厚く接種し、重症者数を減らす狙いがある。
1回目はオミクロン型対応ワクチンを基本にし、5〜8月に打つ。2回目は9〜12月を想定し、ワクチンは流行状況や海外動向をふまえて選定する。接種の時期は海外の研究報告などをもとに判断した。ワクチンが重症化を抑える効果は接種してから半年〜1年程度、死亡を防ぐ有効性は10カ月以降も一定程度残るとのデータがある。現在のオミクロン型対応ワクチンの1回目接種から一定期間は予防効果が見込めるとみる。
高齢者ら2回目と同時期にそれ以外の幅広い年齢層の人が1回目を打つことを想定している。

足元で進めているオミクロン型対応ワクチンの接種は22年秋に始まった。従来型ワクチンを2回打った12歳以上が対象で、1人1回接種できる。23年度の接種が始まれば廃止も視野に検討する。小児や乳幼児は現在の従来ワクチンの接種を23年度も続ける。
これまでワクチン接種は一般の人も含めて「努力義務」としてきた。今後は高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクの高い人にのみ課す。リスクの低い人での効果を示すデータは少なく、十分な根拠が集まっていないと判断した。22日の会合では「接種控えにつながらないよう慎重に周知すべきだ」との意見が専門家から出た。
現在、コロナは感染症法上、厳しい措置がとれる2類以上に相当する位置づけだ。5月8日に5類に移る。ワクチンはこれとは別に予防接種法で3月末を期限に「特例臨時接種」と定めている。国が買い上げ、無料で接種できるようにしている。23年度もその位置づけのままにし、24年度からは定期接種などを念頭に自己負担を求めることも検討する。
感染症法の位置づけが変わっても年末年始などの感染拡大のリスクは変わらない。接種率は現状でも5割に満たず、効果や安全性への理解が一段と重要になる。小児や乳幼児、若者と高齢者でワクチンの種類や接種時期は多様化している。自治体の接種体制整備の支援も必要になる。
厚労省は22日、新型コロナの助言組織「アドバイザリーボード」の会合を開いた。直近では1週間の感染者数が前週の0.68倍となった。死亡者数や救急搬送の困難事案数も減少傾向が続き、病床使用率も低い水準となっている。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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