反撃能力で長射程弾整備、研究開発3倍 23年度防衛費
極超音速弾に着手 「トマホーク」取得に2113億円
政府は2023年度予算案の防衛関係費で、相手のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力の体制整備に着手する。手段となる長射程ミサイルの導入を急ぐ。研究開発費を契約ベースで22年度比3倍の8968億円に増やした。

反撃能力は16日に決定した「国家安全保障戦略」など安保関連3文書に盛り込んだ。長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の国産開発を急ぐ。
射程が百数十キロメートルの「12式地対艦誘導弾」を1000キロメートル超に改良する。26年度に地上発射型を配備する。量産費と合わせ1277億円を計上した。

より迎撃が困難な「極超音速誘導弾」と「島しょ防衛用高速滑空弾」能力向上型は30年代に運用を始める。23年度から研究や開発に乗り出し計2600億円弱を投じる。
国産の量産体制が整うまでは海外製で補完する。
米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得に2113億円をあてた。トマホークは1991年の湾岸戦争などの戦闘での使用実績がある。日本政府が今回購入を調整するのは2021年に米海軍への納入が始まった最新型になる。
射程は1600キロメートル以上で、標的に低空で精密誘導できる性能がある。酒井良・海上幕僚長は抑止力を高めるため「実績や正確性、破壊力を考えると極めて信頼を置ける」と話す。
研究開発には中国やロシアが先行する極超音速滑空兵器をより遠方の滑空段階で撃ち落とす迎撃弾の実現へ必要な要素技術の研究に585億円を盛った。
無人機も積極的な活用に転じる。23年度から攻撃型や偵察型など様々な機種を部隊で試す。トルコ製の「バイラクタルTB2」や米国製の「MQ9」などを念頭に置く。
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