国葬判断、有識者「国会関与を」 政府が検証結果公表
政府は22日、9月に開いた安倍晋三元首相の国葬の検証結果を公表した。有識者に意見を求めたところ政府が開催を決める際に「国会の関与や事前調整が必要」との声が相次いだ。内閣の裁量で問題ないとの評価も出た。政府は論点を整理し2023年に国葬の手続きや基準の策定を検討する。

10~12月に憲法や行政法、政治学、外交などを専門とする有識者21人に安倍氏の国葬開催で浮かび上がった課題について意見を聞いた。
国会の関与に関しては「幅広いコンセンサスを得る必要がある。国会の関与が望ましい」「国葬は内閣の裁量で実施できる」と両論があがった。国葬の法的根拠は「行政権の行使なので不要」「法律に基づくべきだ」と考えが分かれた。
岸田文雄首相は7月、安倍氏の死去から1週間足らずで国葬の開催を表明した。内閣府設置法が「国の儀式」を所掌事務としている点を根拠とし、政府が行政権の範囲で国葬を開けると主張した。
野党などは国会への事前の説明がなかったと批判した。費用が国費による負担になったことも問題視され、開催を巡って世論の賛否が割れた。有識者から丁寧な説明が必要だったとの指摘があった。
松野博一官房長官は22日の記者会見で「国民各層の幅広い理解を得られるよう、国会との関係などどのような手順を経るべきか引き続き検討したい」と話した。
首相は10月に首相経験者の国葬について「国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか一定のルールを設けることをめざす」と述べた。課題や論点を提示するため内閣府が有識者の意見聴取に取り組んでいた。
- 【関連記事】国葬「国会の関与必要」 衆院の協議会が報告書